マレーシア アブドゥラ・バダウィ副首相との懇談会(座長 今井会長)/9月29日
去る9月29日、経団連では、来日中のマレーシアのアブドゥラ・バダウィ副首相を招き、マレーシアの政治・経済情勢をきくとともに、今井会長はじめ大賀、荒木両副会長他と意見交換を行なった。
現在、マレーシア政府は、マハティール首相のリーダーシップの下、経済危機を克服し、さらに経済を強化するために国力を傾注している。高い経済成長を維持することは、今のマレーシアにとって極めて重要である。すなわち、所得水準が相対的に低いマレー系国民とビジネスで活躍する中国系国民との経済的、社会的な不均衡の是正が現下の最重要課題であり、成長がその是正の妙薬と考えている。マレー系に与えられている経済的特権に対して、中国系国民からは特権廃止の声があるが、経済計画において目標とする水準にマレー系国民が達するまでは当面特権政策を継続する。
マレーシアにとって、民族間のバランスをはかること、民族間の良好な関係を確立することが重要であり、国民の大半がこの政策を支持している。マレーシアは、海外から投資を誘致でき、経済発展を途げることができたのは、政治的に安定していたためであると十分理解している。
マレーシアの経済発展に大きく貢献しているのが日本企業である。日系企業は製造業を中心に各分野に多数進出しており、感謝している。今後は、半製品を含む中間資本財の現地生産も検討してもらいたい。また、IT産業に目を向けてほしい。マレーシア政府は、マハティール首相自ら、IT産業育成に熱心であり、先端技術都市、マルチ・メディア・スーパー・コリドー(MSC)には約100億リンギを投資した。政府は、MSCには海外からの研究施設の進出を奨励している。知的労働者の育成にも力を注いでおり、IT産業を発展させたい。日系企業にも是非進出してほしい。