経団連くりっぷ No.134 (2000年10月26日)

大島文部大臣および同省幹部との懇談会(司会 浜田 広 人材育成委員長)/9月13日

教育改革について懇談


文部省からの申し入れに基づき、今井会長が出席して大島文部大臣ならびに同省幹部との懇談会を開催した。懇談会では、教育改革の進行状況について説明をきくとともに懇談した。

  1. 大島文部大臣発言要旨
    1. 教育改革への取組み
    2. 今、新しい世紀にふさわしい教育の姿を国民全員の叡智を絞って考え、全力で教育改革に取り組む必要がある。

      1. 青少年の健全育成:
        最近の青少年の問題行動の背景には、子どものなかに「孤」の世界が広がり、社会性が欠如していることがあげられる。これは、大人社会でのモラルの低下とも結びついており、学校・家庭・地域社会が一体となって取り組む必要がある。

      2. 学校、地域、家庭教育の充実:
        新学習指導要領において、基礎的知識をしっかりと身につけさせたうえで、個性や創造性を育む教育を行なう。
        また、学校週5日制の導入に伴い、地域・家庭の教育力強化が一層重要となるため、「全国子どもプラン」や「地域・家庭教育力再生プラン」等を実施している。

      3. 高等教育改革:
        学生に基礎学力をきちんと身につけさせることを前提に、大学に流動性、柔軟性を持たせるよう、来年の通常国会で検討したい。また、国立大学の独立行政法人化を含めて、大学のあり方を抜本的に考える必要がある。
        産業界には、日本の大学の優れた研究者を再発見して欲しい。

      4. IT革命への対応:
        教育の情報化は、喫緊の課題である。「人材の不足」やITの「影の部分」等の問題への対応も含め、全力で取り組んでいる。

      5. 今後の予定:
        森総理から、来年の通常国会を教育改革国会に位置づけ、教育改革国民会議等の議論を踏まえ、具体的な法案取りまとめの作業を進めるように指示を受けた。教育基本法についても、国民の多様な意見を聴取して議論せざるをえない。

    3. 産業界への要望
    4. 産業界に対して、

      1. 有害番組へのスポンサーの自粛、
      2. 社会人活用のための特別非常勤講師制度や教員の社会体験研修への協力、
      3. 父親の家庭教育への参加促進、
      4. 新規学卒者等の採用枠の拡大、
      等をお願いしたい。

    5. 文部省説明:教育改革の推進
    6. 御手洗 康初等中等教育局長より「新しい学習指導要領」について、本間 政雄総務審議官より「IT革命への対応」について、それぞれ説明があった。

  2. 懇談要旨
  3. 経団連側からは、グローバル化時代の人材育成、産業技術力強化に向けた大学改革、教育のIT化、起業家教育について要望するとともに、経団連東富士フォーラムにおける教育問題に関する議論も紹介した。
    なお、高等教育については、社会のニーズに応じて大学が自由に学部・学科の設置等を行なえるよう強く要望した。


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