経団連くりっぷ No.134 (2000年10月26日)

リザル・ラムリ インドネシア経済担当調整大臣との懇談会(司会 上島重二 日本・インドネシア経済委員長)/10月11日

10項目から成る経済復興計画を発表


インドネシアのリザル・ラムリ経済担当調整大臣を迎え、懇談会を開催した。ラムリ調整大臣は、8月の内閣改造における就任以来、国内の経済構造改革やIMFとの融資交渉などに取り組んでいる。そこで、当日は、調整大臣からインドネシアの最近の経済情勢および貿易・投資政策などについてきいた。

○ ラムリ経済調整大臣発言要旨

インドネシア経済は、マスコミが報じているよりも健全である。2000年度の経済成長率は4%が見込まれ、貿易黒字は予測を上回り140億ドルに達している。石油・エネルギー価格の上昇による増加だけでなく、非石油製品の輸出も好調である。小売、自動車販売などの生産指標も大きく改善していることは経済が持ち直してきたことの証左である。

経済担当調整大臣に就任次第、10項目から成る経済復興のための4ヵ年計画を発表した。すなわち、

  1. 金融部門の安定性の創出、
  2. 非石油製品の輸出拡大、
  3. 農業の生産性向上と農業従事者の福祉向上、
  4. 銀行・企業部門のリストラの加速、
  5. ローンではなくエクイティ・ファイナンスによるインフラ・プロジェクト推進、
  6. 国営企業の株式売却に際しての付加価値の最大化、
  7. 資源に関する経済的な地方分権の達成、
  8. 天然資源の活用、
  9. 中小企業の育成・振興、
  10. 雇用の創出・拡大のための諸政策、
である。この10項目が迅速に実施できれば、インドネシア経済は急速に回復していくだろう。この復興計画はIMFにも提出し、4億ドルの融資が決定した。

問題点として指摘される対外債務については、すでに約100億ドルのリストラが発表されている。こうしたリストラのデータが統合されれば、投資家の認識も改善するだろう。政府は、債務者に対して返済期間の延長や金利の低減などインセンティブを与えることを決定した。債務削減が進展すれば、国際収支が改善し、通貨ルピアも安定し、ひいてはインドネシアへの信認も向上するだろう。

なお、日系企業の関心事である労働問題に関しては、組合側に対して経済復興計画の実施により、雇用が拡大がする点を説明するなどコミュニケーションの強化に努めている。

日本企業は経済危機に際しても現地に留まり、支援をしてくれたことに感謝している。インドネシアは世界第4位の人口と豊富な天然資源を有する国であり、技術力を有する経済大国の日本と協力すれば、多くの利益を生むことができる。日本企業には、引き続き、支援と協力をお願いしたい。


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