経団連くりっぷ No.134 (2000年10月26日)

マクニーリ サンマイクロシステムズ会長との講演会(司会 出井伸之 アメリカ委員長)/9月28日

マーケット・フォースこそIT産業の原動力


経団連アメリカ委員会では、来日中の米IT企業大手のスコット・マクニーリ サンマイクロシステムズ会長を招き、講演会を開催した。マクニーリ会長からは、米国経済の展望、特に情報産業の今後の展開等について説明をきいた。

マクニーリ会長

○ マクニーリ会長説明要旨

  1. 産業の情報化とニューエコノミー
  2. われわれの社会、産業は刻一刻と情報化されてきている。全て必要な情報がインターネットのウェブ・サイトを通じて入手することができる。サンでは「ビジネスをドット・コムする」といっているが、これは企業をネットを通じて情報化することを意味している。現在、日本では企業の20%程度しかドット・コムされていない。今後、早期に同分野での投資を増加し、情報化を通じて企業体質を転換しなければ、21世紀を生き残ることはできないであろう。サンではすでに社内関連情報の80%をウェブ・サイトに載せている。ニューエコノミーの一角を担うEベイ社、Eトレード社、アマゾン社等は社内情報の100%をウェブに載せている。ニューエコノミーは政府の施策、優遇税制、産業政策等により創造されたものではなく、市場経済、競争により起業されたまったく新しいタイプの会社である。

  3. 自由競争の重要性と情報化推進
  4. 米国では競争政策の観点からAT&Tを分割し、複数の通信産業の育成、低価格、適度の競争、技術革新を可能にした。各国は是非この分割成功例を参考にして情報化を促進して欲しい。かつて米国は各国に先駆けて高速道路網を整備した。これにより米国産業の効率化が促進された。これと同様に、インターネットは21世紀における米国経済の効率化を推進する原動力となるであろう。全てのビジネスがネット上で行なわれる日もそう遠くないのでなる。このような新しいビジネス環境に直面して完熟企業は生き残りをかけ、ニューエコノミー化することが求められているのも事実である。

  5. 情報化へ向けての決断の難しさ
  6. 重厚長大産業にとって情報化することへの違和感はかなりある。ウェルチGE会長は重い腰を上げ2年半前にGEを情報化する「E-GE」構想を発表したばかりである。産業の情報化のプロジェクトは投資額からみて、ケネディー大統領の月計画以来の国家的な大きなプロジェクトになるであろう。

  7. 米国経済の原動力であるIT産業
  8. ゴア大統領候補、経済立案者達はどうして米国経済が好調なのか理解できないでいる。グリーンスパン連銀総裁が金利を上げ下げしているからではなく、われわれIT産業、それを取り巻くべンチャー投資家が活躍しているから米国経済が好調なのである。


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