社会貢献担当者懇談会−社会基盤整備(共同座長 瀬尾隆史氏)/10月11日
12月1日のNPO法施行2年を前に、NPO支援・促進税制に関する提案が各政党・市民団体等から出されている。主要な論点の一である、税制優遇の対象とするNPO法人の認定要件について、大阪大学大学院国際公共政策研究科の山内直人助教授より、客観的な基準に基づくレイティング・システムのご提案を中心に説明をきいた。
NPO法見直しに関する主要な論点は、NPO支援・促進税制の内容、税制優遇の対象とするNPO法人の認定要件の構成、認定機関の問題、の3つである。
NPO支援・促進税制としては大まかに分類して、NPO法人自体への課税軽減と、寄付インセンティブ向上を意図した個人・法人寄付者への課税軽減が考えられる。いずれの内容でも、差別的な税制優遇を受けるためには、根拠として何らかの「公益性」が問われることとなる。
既存の税制優遇では、特定公益増進法人(特増)制度がある。しかし、特増の「公益性」は、省庁の縦割りの問題と各主務官庁の裁量が大きすぎる上、現実にも公益法人のうち約3%しか認定されていない。一方、米国における寄付適格控除団体の選定に使用するパブリック・サポートテストは、会費や寄付金等、広く一般から集めた収入を「公益性」の代理変数と考え、収入に占める割合が一定以上あることを求める。しかし、この方法では、基準がパブリック・サポートの観点に偏りすぎるなど基準の偏向性や甘さが指摘されている。そのため、単にこれらの制度等の拡張として認定制度を構築することは問題である。
「公益性」判断における主務官庁の裁量を極力排するため、数量化による客観的な基準により、複数の観点から多面的に評価すべきである。また、NPOの持つ先駆性を考慮すると、実績をみる仮免許的な制度も検討すべきであろう。
認定の手続としては、2段階の認定システムが望ましい。具体的には、まず、NPO法遵守とディスクロージャーを絶対不可欠の要件とする第一段階。そして、これをクリアした第二段階では、活動実績、本来事業と収益事業の割合、パブリック・サポート、監査、給与等のディスクロージャー等、多様な評価項目を設けその達成度合いを定量化して点数をつける。そして各項目の総得点を認定の判断基準とする、レイティング・システムを提案したい。
国税庁、所轄庁、第三者機関が考えられるが、いずれも利点と難点を持つ。例えば、通常の審査は国税庁が行ない、審査結果に不服のある時のみ、非常設の第三者機関に判断を仰ぐ等、三者の組合せも可能であろう。