経団連くりっぷ No.135 (2000年11月9日)

なびげーたー

プーチン ロシア大統領を迎えて

−新しい段階に入った日ロ関係

常務理事 藤原勝博


ロシアはプーチン新大統領の下、さまざまな改革を進めている。来年、今井会長は変革中のロシアを訪問する。

この秋はロシア関係の仕事が続いた。9月にプーチン大統領を迎えて、昼食会。10月に入って第5回日本ロシア経済合同会議、チェルノムイルジン元首相との会議、プーチン大統領の政策ブレーンといわれるロシア戦略策定センター代表との会議。一連の会議を通じての感想と、今後の日本−ロシア経済関係への取組みについて述べてみたい。

ロシアは変わった

プーチン大統領は、経団連会館での昼食会で、経済界との実質的な話し合いに応じた。昼食会に先立ち、ロシアの投資環境改善を訴えるアンケート調査を説明すると、自ら、ペンを持ちながら熱心に耳を傾けた。「日本の投資家の指摘はよくわかる。法が整備されていない、法があってもきちんと実施されない、税制も不備、司法も改善せねばならない。まさにこれを私は変革しようとしている。ロシアを一つの法的空間にしたい」と答えた。簡単な昼食をとり、スピーチをした後、3人の聴衆からのコメントに、メモも見ず、時間を延長して熱心に答えた。以前、ゴルバチョフ、エリツィン両大統領も東京に迎え、経済界で歓迎午餐会を設けたが、形式、実質ともに大きな違いがあった。
一方、プーチン大統領の政策ブレーン一行は、新大統領の長期経済政策の基礎づくりをしたグループであり、官、学、ビジネスの混合であった。政策策定の過程では民間経済人との話し合いを重視し、経済の制度改革では国際基準への調和を推進する等々、われわれと同じ言葉で話し合っているという感を深くした。このトップ層での変化がどこまでロシア社会に浸透していくのか。47才という若い大統領に期待するところ大である。

今後の取組み 〜ロシアミッション

プーチン大統領から今井会長に新しいロシアを現地で見せたいとの呼びかけがあり、会長が応諾した。来年6月初旬を目標に準備を進めることになった。日本からの投資について、「改革が完了し、リスク・ゼロになってから出るのか、改革の最中にできることからやるのか」というロシア側の発言もあった。
今、日ロ貿易は停滞し、対ロ外国投資でも日本は13位という状況である。個々の企業にとっては先送りが合理的な決定であっても、日本全体としてはこれで良いのだろうか。日本政府も積極的であるが、経済団体もこの際、大いに旗振りをして、会員企業が新しいロシアに興味を抱くよう活動せねばと痛感している。今井訪ロ・ミッションを日−ロ経済関係を新しい段階に上げる契機にしたいと期待をかけて、準備をスタートさせたい。


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