川口環境庁長官との懇談会/10月26日
経団連では、10月26日、今井会長はじめ関係副会長・委員長ほかが出席し、川口環境庁長官をはじめ環境庁幹部と、温暖化問題と廃棄物・リサイクル問題について意見交換を行なった。温暖化問題については、気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)の交渉に臨む日本政府への期待と中央環境審議会内で検討中の温暖化対策の政策パッケージに対する産業界の意見を説明した。また、廃棄物・リサイクル問題については、最終処分場・リサイクル施設の整備や廃棄物処理に関わる規制緩和の推進等を要望した。
現行の経団連自主行動計画を尊重すべき
産業界は、温暖化問題を全力をあげて取り組むべき最重要課題と位置付け、経団連環境自主行動計画に基づいて対策を進めており、着実に成果をあげていると自負している。
産業界が自主的に懸命に努力している一方で、産業部門以外の対策実績は、はかばかしくない。この点についての評価がなされることなく、成果をあげている自主行動計画が批判を受けていることは遺憾である。
経済とのバランスのとれた国内対策を検討すべき
環境税については、そもそもCO2の排出抑制効果が疑わしいこと、産業の国際競争力の低下を招くこと、省エネのための技術開発・設備投資の資金原資を流失させる等により自主的取り組みを阻害すること、などの点から慎重に検討すべきである。また、強制的な排出枠の割当が前提になる国内の排出量取引きは、非常に経済統制的であるし、また公平性の確保が難しく、産業界としては受け入れ難い。
温暖化問題は経済社会の根幹にかかわるとともに、一国だけでは克服できない問題であり、わが国としても米国等の動きを見極めながら、慎重に議論すべきである。
COP6の交渉に臨む日本政府への期待
世界最高水準のエネルギー効率を達成しているわが国にとって、6%削減目標は極めて厳しい数字である。日本経済への影響を最大限にとどめるために、日本政府は、京都議定書合意当時に想定した通り、
リサイクルが産業として発展するためにハード・ソフト両面での支援を
経団連では、昨年末には産業廃棄物の最終処分量の削減を目指す産業界全体の統一目標を打ち出し目標達成に努めている。リサイクル促進に向けた産業界の取組みがさらに進展するには、新資源を生み出すリサイクルが産業として成立するために必要な環境整備をハード・ソフトの両面から行なうことが不可欠である。このような観点から今般、産業新生会議の場で、「新資源産業センター」プロジェクトを提案した。
ハード面の整備については、国が出資・助成を行なうなどリーダーシップを発揮し、地方公共団体の参画を促す形で公共関与を強めて欲しい。ソフト面については、廃棄物の定義の見直し、一般廃棄物と産業廃棄物の区分の見直し等が必要である。
循環型社会形成推進基本計画の策定にあたっての要望
循環型社会形成推進基本計画の策定にあたっては、産業界とも意見交換を重ね、合理的なものとしていただきたい。いたずらに数値目標を掲げても、実際には経済情勢、技術動向、リサイクル市場の進捗状況等に大きく左右されることから現実的でない。
国際交渉の進捗状況について
吸収源対策については、わが国の目標達成上非常に重要であり、日本の実情を説明するとともに、各国の実情を反映して吸収増進につながる活動にインセンティブがあたえられるべきであると訴えている。
費用対効果の優れた京都メカニズムの利用に上限を設けない方向で交渉している。
COP6は難しい交渉になる。何をとれれば妥協してよいのかといった判断を迫られるものと考える。
国内対策
官民が協力して適正処理とリサイクルを進めることは重要であり、新資源産業センター構想について積極的に取り組んでいきたい。また、循環型社会推進基本計画の策定にあたっては産業界と十分意見交換を行ないたい。廃棄物の定義の見直しをはじめ規制緩和要望については、産業界とよく意思疎通を図りながら対応していきたい。