経団連くりっぷ No.135 (2000年11月9日)

サブサハラ地域委員会(委員長 安崎 暁氏)/10月13日

日本との関係をより強固なものに

−アーウィン 南ア通産大臣と懇談


南アフリカ共和国は、経済の再生、再構築に取り組んでおり、経済面における日本との着実な関係強化を重視している。サブサハラ地域委員会では、来日中のアーウィン通産大臣を迎え、南アをはじめとする南部アフリカ諸国と日本の経済関係の拡大について説明をきいた。

○ アーウィン通産大臣発言要旨

南アおよび南部アフリカ諸国は、日本との間でより幅広く緊密な経済関係構築を希望しており、今後も関係強化に向けた継続的かつ計画的な努力が必要である。その意味において、本年2月の経団連の訪南ア経済ミッションを高く評価している。

 (1) 改革の動向

現在南アは、国民の力を結集し、長期的視野に立って経済再生、再構築を行なっている。民主化移行後6年が経過し、その間、財政制度の改革、すなわち多額の財政赤字の解消、財政面における中央政府と地方政府との間の不明確な責任関係等の改善に向け努力し、成果を得つつある。
また、これまで保護されてきた産業、例えば自動車、繊維、衣料といった業種や農業において、さまざまな改革を実行した。具体的には、1950年代から高関税によって自国の産業を保護育成するといった内向きの工業化路線を変更し、保護関税を段階的かつ効率的に引き下げた。農業では、補助金による価格維持政策を撤廃した。労働市場では、労働争議が頻発していたが、問題解決は、政府の仲介に依存するのではなく、企業の自助努力によって行なうという新ルールを導入した。これらの改革は、生産性の向上、ひいては、産業の国際競争力の回復をもたらした。
一方、公共セクターの改革にも着手し、一部国営企業はすでに民営化された。航空会社、空港運営事業は民間とのパートナーシップの下で運営されている。また、年金制度に問題を抱える鉄道等の運輸部門は、新年金基金を設けるなど、大々的なリストラクチャリングを行なっている。
これらの諸政策が奏功し、マクロ経済は極めて堅調に推移している。現在、投資水準の向上、低い貯蓄率の改善、割高な電気通信コストの引き下げ等の課題を達成すべく、集中的に取り組んでいる。

 (2) 南部アフリカ諸国と日本

南アをはじめとする南部アフリカ諸国は、開発パートナーとして、貿易、投資、技術交流の分野で日本との協力を希望している。例えば、

  1. コンゴ川以南の豊富なエネルギー資源の活用、
  2. 穀物等の基本作物から生花、果物等への作付け転換、
  3. 砂糖、綿花等の産業用作物の利用、
  4. 近隣諸国と協力したエコツーリズムの促進、
における日本に対する期待は大きい。
さまざまな分野における開発を通じた日本との関係強化は、双方の利益に資するものであると確信している。


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