経団連くりっぷ No.135 (2000年11月9日)

インド工業連盟会長およびインド アンドラ・プラデシュ州首相と懇談/10月10日、20日

IT分野を中心とした日印両国の協力強化を望む


今井会長が団最高顧問として参加する対インド政府派遣経済使節団の訪印(10月29日〜11月4日)を前に、インドと日本の経済交流が活発になっている。10月10日には、アルン・バラット・ラム会長をはじめとするインド工業連盟(CII)一行が、10月20日には、IT産業の発展しているアンドラ・プラデシュ(AP)州のナラ・チャンドラバブ・ナイドゥ首相一行が経団連を訪れ、今井会長ほかと意見交換を行なった。

  1. ラムCII会長発言要旨
  2. 1991年のラオ政権発足以来、自由化政策が推進されている。政権は頻繁に変わっても、改革の方向性は変わらない。現在のヴァジパイ政権は自由化を強力に努めており、電気通信分野や保険分野の民営化、金融業の外資への開放などを進めている。海外からの投資を歓迎する。
    森首相の訪印の際に、日印関係におけるIT分野の協力についてビジョンが立てられたが、両国は同分野での重要なプレーヤーとして意見交換を行なっていくことが重要である。また、ITだけでなく、バイオ・テクノロジーなどの他の知識集約産業についても共同研究開発を考えていきたい。もちろん、従来からの産業も引き続き重要である。多くの改革が実現しているものの、インフラ整備や制度面における課題も依然として残っている。経済使節団の訪印の際には、政府・民間の双方に対して率直に意見を述べてほしい。ヴァジパイ政権は非常にオープンである。
    経団連とCIIはWTOに関する連携など緊密な関係を築いてきた。今後もこうした活動を拡大し、協力関係を強化していきたい。CIIは日本との関係を重視しており、近々東京に事務所を開設する予定である。

  3. ナイドゥAP州首相発言要旨
  4. 本年8月には森首相の訪印の際に、両国首脳の間で「21世紀における日印グローバル・パートナーシップ」が合意され、特にIT分野での協力関係の強化が決まった。経済発展をもたらす新たな環境を提供するものと期待される。
    現在、インドでは、「第2世代の経済改革」により経済の自由化に努めている。アンドラ・プラデシュ州は改革の先頭を切っており、特にIT関連分野では優位性を持つ。例えば、電子政府化による行政の効率化を強力に進めている。マイクロソフト社など国際的なIT関連企業がハイデラバードに拠点を持っている。米国経済はITに支えられて成長しているが、米国のソフト・エンジニアの3分の1がインド人である。日本はハードに、インドはソフトに優位性を持つ。両国の強みを活かした協力が望まれる。インド政府としては、光ファイバー網の整備などハード面にも力を入れたいと考えている。日本の官民とも、インドのソフトを活用してほしい。
    10月末からの対インド政府派遣経済使節団の訪印を心より歓迎する。


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