経団連くりっぷ No.135 (2000年11月9日)

産業問題委員会(共同委員長 瀬谷博道氏、西村正雄氏)/10月24日

北川三重県知事を招き、地域の産業集積戦略などに関し懇談


産業問題委員会では、10月24日、第5回会合を開催し、北川正恭三重県知事より、「三重県における未来型産業の集積に向けた取組み」について説明をきいた。引き続き、当委員会の下部組織である企画部会がとりまとめた次回テーマ(案)について討議した。

  1. 北川三重県知事説明要旨
    1. 「生活者起点」をキーコンセプトに県政をゼロベースで見直し
    2. 今日、明治維新、戦後の改革と全く次元の違う時代認識が必要である。こうした中、三重県では、従来の供給者側の論理ではなく、需要者・消費者側の論理で考え、「生活者起点」をキーコンセプトに県政の改革を進めている。キーワードは「情報公開」であり、公開を原則とし県政のオープン化を図ってきたが、狙いは県政に対する県民の参画と県民の満足度向上である。「さわやか運動」のコアに評価の項目を挙げ、Plan-Do-Seeの概念を導入し、事務事業評価である内部評価と、外部評価である経営品質に取り組んでいる。本年の目標は「率先実行」であるが、今後とも抜本的な体質・構造の改善に努めていきたい。

    3. 未来型産業の集積に向けた取組み
    4. 未来型産業の集積は、生活者に新しい雇用機会を与え、住民生活の質を向上させることから、県政の重要課題といえる。このため三重県では、地域の特色を活かしつつ、未来型産業の集積に向け、取組みを積極的に進めている。
      第1は「情報先進県」づくりである。5本の海外海底光通信ケーブルが伊勢志摩地域に陸揚げされるが、世界最大の集積地であるこのインフラを活用して、情報通信産業振興を核とした「志摩サーバーベース・プロジェクト」を推進している。これにより三重県に魅力あるITエリアが形成されるものと期待している。
      第2は「環境先進県」づくりである。かつてコンビナートを持つ四日市は公害のまちと呼ばれた。その後の産業界を中心とする努力によりグローブ500という環境大賞を獲得するまでに環境は改善されている。環境と産業振興は対立の概念として捉えられがちだが、今後は良質な環境産業の創出により、環境と産業振興を協調・協働の関係に変えることができるものと考えている。
      企業立地にあたっては道路利用、都市計画などの問題を解決しなければならない。このため三重県では、企業立地にかかる行政サービスのワンストップ化を図っている。

  2. 産業問題委員会の次回テーマ(案)を討議
  3. 企画部会(部会長:雨宮肇旭硝子専務取締役)がとりまとめた次回テーマ(案)について討議し、了承を得た。産業問題委員会では、次回テーマとして「産業競争力の強化に資する新しい産業集積戦略」を取り上げ、今後、現地調査事例研究に基づく報告書・提言をとりまとめることとした。


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