経団連くりっぷ No.135 (2000年11月9日)

起業家懇談会(座長 高原慶一朗氏)/10月11日

一層の規制改革とIT化の推進が必要

−第1回起業家懇談会を開催


経団連では、今般、さまざまな分野の起業家の方々を招き、新産業・新事業が活発に生まれ育つ日本の創造や経済構造改革の推進に関して、今井会長をはじめ経団連首脳と意見交換を行なう「起業家懇談会」を開催し、経団連活動への反映を図っていくこととした。第1回会合では、澤田秀雄エイチ・アイ・エス社長ならびに大江匡プランテック総合計画事務所所長より説明をきいた。

  1. 澤田社長説明要旨
  2. 20数年前、世界中を旅行した経験から、日本の航空運賃があまりに横並びで割高であることに疑問を感じ、旅行業を始めた。割安の航空券は消費者の支持を得、当社は、現在、海外旅行部門で国内第4位の総合旅行会社となった。この間、他社の航空券の価格も下がるとともに多様化し、当社の参入は消費者の役に立ったと考える。
    一方、国内航空運賃は、なかなか価格の低下・多様化が進まなかった。そこで1996年、一石を投げかける意味でスカイマーク・エアラインズを設立し、東京・福岡間の航空便を開始した。以後、国内便の料金も低下・多様化し、業界全体の合理化・効率化が進み国際競争力がついたと考える。
    各空港の運行便数は工夫次第で増やせるはずである。米国の空港では日本より短い間隔で離着陸している。便数の抑制は、経済成長の抑制を意味すると考える。
    昨年引き受けて始めた証券業も、航空輸送業に輪をかけて許認可が厳しい。複数の機関が同様の検査を行なっており非効率である。官・民・専門家の合同の検査とすることも検討に値する。航空輸送業・証券業における一層の規制改革が必要だと痛感している。

  3. 大江所長説明要旨
  4. プランテック総合計画事務所は、IT化を徹底的に進めた結果、大手設計事務所以上の競争力を獲得でき、大きなプロジェクトも受注している。現在では、最もIT化が進んだ設計事務所と評価されている。IT化により、従来の手書きでは100枚の設計図が必要であったような場合に、30〜40枚に削減でき、また外部のデータベースも活用できるため、経費と作業時間は従来の3分の1に削減された。また、CGにより顧客にストレスなく設計の概観等を理解してもらえる。
    昨年、ITにより経営を支援するクエリ・ソリューションズを設立した。同社は、設計事務所の事業をIT化していく過程で創出された、IT、建築、組織のシステム・インテグレートとコンサルティングのサービスを独立の事業としたものであり、IT化による新事業創出の一例といえる。
    近年の技術革新を企業が有効活用し、競争力を確保していくためには、最新の技術が分かる40代の若い人材を抜擢してCIO、CTO等として経営陣に参加させる必要がある。大企業には優秀な人材がいるが、組織の中で埋もれている。


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