経団連くりっぷ No.135 (2000年11月9日)

日米関係緊密化ワーキング・グループ(座長 中村常務理事)/10月25日

2010年までに日米オープン・マーケット・プレイスを構築すべき


貿易投資委員会総合政策部会では、産業界の立場から、日米自由貿易協定の可能性も視野に入れつつ、長期的な観点に基づき日米経済関係をさらに深化していく具体的な方策を検討していくため、「日米関係緊密化ワーキング・グループ」を新たに設置した。第1回会合では、米国の有力シンクタンクである外交問題評議会のブルース・ストークス上級研究員より、今後の日米経済関係をめぐる展望と課題等について説明をきいた。

○ ブルース・ストークス上級研究員説明要旨

  1. 日米オープン・マーケット・プレイス
  2. 外交問題評議会では、超党派のスタディ・グループを設置し、日米経済関係の強化策に関する検討を進め、本年7月にその成果を'A New Beginning'として公表した。
    このレポートの結論は、2010年までに、日米両国が関税を撤廃し、国内規制を最小限にするとともに、ビジネス活動の自由度を高める日米オープン・マーケット・プレイスを構築すべきということである。
    日米オープン・マーケット・プレイスは、会計基準や特許制度、国内規制の調和等の構造問題に焦点を当てることで、日米構造問題協議(SII)、日米規制緩和対話に続く新たなイニシアティブとなり得る。そのためには、政府間に加えて、国会議員や産業界による対話が必要となるだろう。

  3. 日本の持続的な経済発展のために
  4. 直接投資の急増、規制改革の推進、企業によるリストラの進展等、過去10年で日本経済をめぐる状況は劇的に変化してきた。
    しかし日本は、膨らみ続ける公的債務や不良債権、進む少子高齢化、世界経済における地位の低下等の問題を克服し、今後も持続可能な発展を遂げていく必要がある。米国も強い日本経済を望んでいる。
    日本経済の復活に不可欠な経済構造改革には、日米オープン・マーケット・プレイスのような長期的な目標が必要である。

  5. 今後の日米関係
  6. 米国では来年1月に新しい大統領が新たな対日政策を掲げて誕生するが、両党とも日米関係の重要性を認識している。
    共和党のブッシュ大統領候補は、クリントン政権の中国偏重の対アジア政策を批判し、日本をアジアにおける主要なパートナーと位置付けている。また、民主党のリーバーマン副大統領候補は、日米自由貿易協定を提唱している。
    今後の日米関係は、今までのように日米が対峙し合うゼロ・サム・ゲームではなく、双方に利益をもたらすプラス・サム・ゲームになり得る。
    しかし最近では、米国における日本への関心が急速に低下している。新たな日米関係を構築するうえでは、日本によるイニシアティブが必要である。そのためにも、ビジネスが積極的に政府に働きかけていくことが重要であろう。


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