経団連くりっぷ No.136 (2000年11月22日)

イラン・イスラム共和国 ハタミ大統領歓迎昼食会(経済6団体共催)/11月1日

西アジアの経済開発にも目を向けてほしい

−ハタミ イラン大統領と懇談


経団連、日商、日経連、経済同友会、日本貿易会、日本イラン経済委員会の経済6団体は、公賓として来日したイラン・イスラム共和国のハタミ大統領の歓迎昼食会を開催した。会合には、経済界から約70名が出席し、6団体を代表して経済同友会の小林代表幹事の挨拶、ハタミ大統領のスピーチがあった。

○ ハタミ大統領発言要旨

ハタミ大統領

イラン人は日本という国に歴史的かつ文化的に敬意を抱いている。これが両国関係を発展させる牽引力になる。両国の関係を深めることは、戦略的地域であるペルシャ湾、中央アジア、中東地域全体に平和と安定をもたらすものと考えている。

長い歴史と文明および人的・天然資源に恵まれ、重要な地域に位置するイランは、長く破壊的な戦争を経験した。現在も外国からの数百万人にものぼる難民や石油価格の激しい変動、経済制裁といったさまざまな経済問題を抱えているが、イラン経済は新たな展望を持っている。現行の第3次経済発展5ヵ年計画は、年間成長率6%の達成とインフレ率の低下を目指し、有利な外国投資、民営化、規制緩和、法律の明確化および透明性といった政策の実現を目指している。

イランは豊富な石油、天然ガスを有しており、さらに石油・ガス資源が埋蔵されているカスピ海とペルシャ湾を結びつける役割も担っている。今後、エネルギー分野における上流部門・下流部門の基盤となる大規模プロジェクトの推進に積極的に取り組みたい。石油、天然ガスについて日本は輸入国として、またイランは生産国としてお互いを必要とし、重要なエネルギー分野で両国関係の拡大を図ることができる。日本企業はイラン経済の発展、特にエネルギー、鉄鋼、小規模産業分野への参加に関心があると理解しており、日本企業の対イラン投資、技術移転は両国に多大な利益をもたらすと確信する。

日本は、アジア経済を牽引する重要な役割を担う経済大国として、西アジアの経済開発にも目を向ける必要がある。イランは外資受け入れを希望しており、イラン政府としても透明度の高い法律を近い将来承認することを予定している。イランと日本の新しい経済関係を発展させるため、イランのエネルギー産業、鉱山産業などが、両国間の協力を拡大させるにふさわしい分野となりうる。日本の資本や技術・ノウハウや経営管理がイランの持つ天然資源や労働力と一体となることで、イラン経済が発展し、ひいては西アジア全体に継続的な経済発展がもたらされる。


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