経団連くりっぷ No.136 (2000年11月22日)

輸送委員会 企画部会(部会長 横山善太氏)/10月24日

今後の港湾整備の基本方針

−運輸省港湾局 須野原 港湾計画審査官よりきく


今年3月に港湾法の一部が改正されたことを受け、港湾審議会計画部会では「港湾の開発、利用および保全ならびに開発保全航路の開発に関する基本方針」の変更に関する答申を11月中にとりまとめる予定である。そこで、同基本方針の内容について運輸省港湾局 須野原豊 港湾計画審査官から説明をきくとともに、意見交換を行った。

  1. 須野原審査官説明要旨
    1. 今後の港湾整備
    2. 港湾においては、海と陸を結ぶ輸送拠点として、施設整備等のハード面の施策を進めること、および、IT活用等のソフト面の施策を強化することが課題であり、これらを総合的に進める必要がある。また、自然環境の保全にも取り組み、良好な港湾環境を形成する。

    3. ハード面の施策
    4. 航路の再編や船舶の大型化に対応し、国際的な港湾間競争の中でわが国港湾の競争力を強化するため、国際的な水準の国際海上コンテナターミナルを整備する。また、アジア諸国との貿易の拡大によるコンテナ貨物の増大等に対応するため、効率的な輸送ネットワークを構築する。具体的には、中枢国際港湾には、コンテナ専用の岸壁、高能率の荷役機械、十分な奥行きを有する荷捌き用地および所要の物流施設を備えるとともに、フィーダー輸送、幹線道路網との円滑な接続を図る。そして、中核国際港湾は、中枢国際港湾を補完する能力を備えることとする。さらに、港湾内の輸送を円滑にし、臨海交通整備を行う。特に、国際海上コンテナの輸送拠点と幹線道路網や鉄道網とのアクセスが向上するように、今後、関係機関との連携を強化して取り組む。

    5. ソフト面の施策
    6. わが国港湾の国際競争力強化のため、利用者のニーズに適切に対応できるように、国際水準の物流サービスの確保に努める。具体的には、経団連をはじめとする規制緩和要望の動向を踏まえ、港湾における情報化を推進する。入出港等手続のEDI化を促進させ、港湾行政手続のペーパーレス化、ワンストップサービス化を実現する。さらに、ITS(高度道路交通システム)やAIS(自動船舶識別装置)等のITを活用し、海と陸の輸送機関や貨物に関する情報の交換を可能にする情報ネットワークの構築に向けた取組みを進める。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連:
    京浜港をはじめ主要港では、埠頭に鉄道の引き込み線を整備するなど、港湾と鉄道の結節点整備が必要である。

    運輸省側:
    わが国の鉄道は旅客優先のダイヤ編成であり、鉄道で貨物輸送する場合、長距離運ばなければコストメリットがでない。鉄道貨物輸送について、ユーザーとしての利便性、トラック輸送とのト―タルコストの比較等を検証するなど、検討を深めていきたい。

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