経団連くりっぷ No.136 (2000年11月22日)

WTOサービス自由化交渉に関する懇談会(座長 太田参与)/11月6日

サービス交渉をめぐる日本政府の対応


WTOでは、本年よりサービス貿易の自由化交渉を進めているが、通信、運輸、金融分野の自由化交渉および人の自由移動に関するわが国政府の考えについて、関係各省より説明をきいた。

  1. 電気通信サービスの自由化
    〔郵政省 吉田靖国際経済課長〕
  2. 1997年2月に基本電気通信交渉が妥結し、途上国を含め多くの国が電気通信サービスの自由化を約束した。しかし、外資規制をはじめ、サービス提供上の障害が残存している国もある。来年3月以降、交渉が本格化することを見据え、各国に対する自由化リクエストを作成しているところである。
    電子商取引については、どこまでWTOの対象とするのかといった議論を民間もすべきであろう。

  3. 運輸サービスの自由化
    〔運輸省 印南朋浩国際業務第1課補佐官〕
    1. 航空サービス:
      現在、航空機の修理補修、コンピュータ予約サービス等の3分野のみがサービス交渉の対象となっており、運輸権を伴うサービスは除外されている。
      わが国ではこの3分野についてはほぼ自由化が達成されており、今後は米国、EU等自由化が不十分な加盟国に自由化を促していく必要がある。なお、空港マネージメント、グランド・ハンドリング等、現在対象となっていないサービスの自由化については、航空サービスに関するレビューを踏まえて検討していく必要がある。

    2. 海運サービス:
      ウルグアイ・ラウンド交渉で決着がつかなかったが、わが国は、積極的に自由化を推進する立場から、シンガポール、ノルウェー等と共同で交渉の再開を求める声明を発表した。

  4. 金融サービスの自由化
    〔金融庁 河野正道国際課長〕
  5. 金融については各国における自由化が一巡したところであり、特にアジア通貨危機を経験した途上国は一層の自由化について慎重な態度をとっている。今後、外資参入が金融セクターの競争力強化につながることを説得していくことが、金融サービス自由化推進の鍵となろう。
    なお、金融サービス自由化の一環として、各国金融当局による信用秩序維持のための措置を限定すべきであるとの議論もあるが、各国ともWTOでこの問題を議論することに消極的である。

  6. 人の自由移動について
    〔法務省 高山泰参事官〕
  7. 企業内転勤による企業の幹部職員等については、わが国は分野横断的に、数量制限することなく移動の自由を約束している。
    また、専門技術を有する外国人労働者については、積極的に受け入れていく方針であり、本年3月発表の第2次出入国管理基本計画にもその旨記されている。他方、単純労働者については、慎重に対応することとしている。


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