経団連くりっぷ No.137 (2000年12月14日)

コーポレート・ガバナンス委員会(委員長 御手洗冨士夫氏)/11月13日

「経済活動に関する基本法制の整備に向けて法務省体制の強化を目指す」

−保岡法務大臣と懇談


コーポレート・ガバナンス委員会では、7月の就任以来、時代の変化に応じた基本法制の大幅な見直しとそのための体制づくりを精力的に進める保岡興治 法務大臣(当時)との懇談会を開催した。

○ 保岡法務大臣発言要旨

  1. 商法改正
  2. 会社分割法制が今年の通常国会で成立し、企業組織再編のための法整備が一段落した。これを機に、法務省では、2002年の通常国会を目途に、

    1. 企業統治の実効性の確保、
    2. 高度情報化社会への対応、
    3. 資金調達手段の改善、
    4. 企業活動の国際化への対応、
    の観点から、商法の全体的な見直しを行うことを決定した。
    また、CP(コマーシャル・ペーパー)のペーパーレス化については、次期通常国会に法案を提出することが決定しており、すでに金融庁と協力して法案作成に着手している。
    さらに、産業新生会議等において産業界から要望のあった、ストック・オプション制度の改善、株主総会のIT化については、その緊急性に鑑み、全体の改正スケジュールを前倒して、来年の臨時国会での実現を目指している。
    なお、代表訴訟制度の見直しと監査役制度の強化については、与党3党の議員立法で次期通常国会に法案を提出するよう準備が進んでいる。

  3. 立法のための体制強化
  4. 今日、IT化と国際競争の進展に応じて、わが国は社会経済構造の転換を迫られており、明治維新と第2次大戦の敗戦後に続いて3度目の大規模な法整備が求められている。
    こうした時代の要請に応えるために、法制審議会を法律の専門家に偏らないよう、半数を非法曹の有識者としたり、審議を同時並行的に進めたりするよう改革した。
    法務省では、11月に通産省出向者2名を含む、審議官以下17名で、当面の課題について集中的に取り組むプロジェクトチームを発足させた。また来年度予算も、横並びの官庁の慣習に反して型破りに増加要求した。これが実現すれば、一気に40名強の体制で、立法のための理論構築と条文化作業に取り組むことができる。企業人(法務)、学者、弁護士など、民間で活躍中の人材にも幅広く参加願いたい。
    立法をスピードアップし、リーダーシップの取れる法務省に変えていきたい。経済界の支援、指導をお願いする。


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