経団連くりっぷ No.137 (2000年12月14日)

人材育成委員会(委員長 浜田 広氏)/11月10日

「教育改革国民会議中間報告に対する見解」をとりまとめ


教育改革国民会議がさる9月22日に公表した中間報告について、人材育成委員会では、11月10日、中間報告に対する見解をとりまとめ、教育改革国民会議に提出した。以下はその概要である。なお、教育改革国民会議は、年内に最終報告を公表する予定である。

○ 見解要旨

グローバル化が進展する中で、国民一人ひとりの持つ能力を最大限に発揮するためには「複眼的で複線的な教育システム」の実現が急務である。こうした観点から見ると、教育改革国民会議の中間報告には大胆な提案も含まれており、これらについては、着実な実行が望まれる。一方、中間報告では、触れ方が不十分なテーマも見られ、以下に指摘したい。

  1. 道徳を含む社会性の育成と基礎学力の徹底
  2. 社会性の育成と基礎学力の確保は、学校教育への最低限の要請である。これを徹底することにより、個性や創造性を育む教育も初めて可能となる。

    1. 社会性の育成のためには、学校における道徳教育を充実させるとともに、自然体験等の体験学習や現代史を中心とする歴史教育等を重視すべきである。
      奉仕活動の導入については、小・中・高校では、奉仕活動ではなく「社会参加学習」として位置付け、幅広く社会参加の機会の提供できるよう条件整備を行う必要がある。将来1年間の社会参加活動についても、更なる検討を要する。

    2. 基礎学力を徹底するためには、小人数教育によるきめ細かい教育、小学校から大学まで段階毎の到達度評価、学習指導要領の大綱化・弾力化の徹底等を行うべきである。

    3. 学級崩壊等への対応は重要であり、学校秩序回復に向けて、問題を起こす子どもに対する毅然とした指導が必要である。

  3. 教師、学校に対する健全な競争の導入と教育人材の養成
  4. 教育の質の向上は、教師、学校に対する健全な競争の導入と教育人材の養成が最大のポイントとなる。そのためには、校長の権限の強化、教員の業績、能力を重視した給与体系への変更、教員および校長となる人材養成のための専門機関の充実等が必要である。

  5. 教育改革を大幅にスピードアップさせるための計画
  6. 単なる予算増のための計画ではなく、21世紀の日本の進むべき方向を明確に示すとともに、教育に関する規制改革も含めた政府全体としての「教育改革計画」を策定する必要がある。
    教育基本法については、国民の間で根本的な議論を行う必要がある。

  7. PTAや学校、地域の教育への親の参加
  8. 父親の参加を促すためには、「教育休暇制度」の導入よりも、学校や地域が積極的に呼びかけたり、PTAの会合を夜の時間帯に開催することの方が効果的である。


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