経団連くりっぷ No.137 (2000年12月14日)

第12回日本トルコ合同経済委員会(司会 武井俊文 日本トルコ経済委員長)/11月28、29日

民営化事業やエネルギー分野における日土協力


さる11月28、29日の両日、第12回日本トルコ合同経済委員会が東京で開催された。日本側からは武井日本トルコ経済委員長以下約70名、トルコ側からはオネル・トルコ日本経済委員長ほか約40名が参加し、日本とトルコの経済関係拡大の方途について活発な意見交換を行った。

  1. トルコ経済の現状と展望
  2. トルコ経済は、国際通貨基金(IMF)のモニタリングのもと、インフレ抑制と経済構造調整プログラムに取り組んでいる。1999年は震災の影響もあり、GNP成長率がマイナス6.4%と落ち込み、インフレ率も年率70%前後という厳しい経済情勢であった。しかしながら、2000年から経済構造調整プログラムに取り組んだ結果、インフレ率も落ち着きをみせ、経済もプラス成長に転じつつある。2000年は6%成長、インフレ率34%を見込んでいる。

  3. エネルギーインフラ分野における協力
  4. トルコでは今後数年間、国営企業の民営化や外資導入を積極的に進め、電力などエネルギーインフラを中心とする大型案件が数多く予定されている。欧州企業はトルコのEU関税同盟加盟を機に、域内諸国向けの生産拠点として対トルコ投資を強化している。親日国であるトルコの産業界としては、日本企業の積極的な進出を強く望んでいる。これらプロジェクトは、民間活力を導入しつつBOT、BOO等によって推進するもので、トルコ側からは、日本からの長期融資や債券市場への参入(サムライ債の発行)を特に要望された。

  5. IT産業における協力の可能性
  6. 従来のテーマである貿易、投資の交流拡大に加え、今回の合同会議では初めてIT産業における協力をテーマとして取り上げた。日本もトルコも情報通信革命に乗り遅れないよう努力しており、今後、協力の可能性を検討していくこととなった。

  7. 第3国における協力の可能性
  8. トルコは、歴史的・文化的な関係から、中央アジア・コーカサス地方(カザフスタン、アゼルバイジャン、グルジアなど)および環黒海諸国(ブルガリア、ルーマニアなど)との関係が深い。1993年と1997年の2回にわたり、これら諸国のうち6ヵ国に日ト合同ミッションを派遣した成果を踏まえ、今回の合同会議では、マケドニア、クロアチアなどバルカン半島諸国への合同ミッション派遣を検討することとなった。

  9. トルコのEU関税同盟加盟の影響
  10. トルコ側は、1996年に発効したEUとの関税同盟により、トルコに投資することで国内市場のみならずヨーロッパ全域に無税で輸出できるメリットを強調し、日本企業の進出を強く要請した。一方、トルコに進出している日系メーカーからは、市場拡大のメリットは認めるものの、域内諸国に輸出するために、日本から輸入せざるを得ない多くの部品に関税がかかるため、関税ゼロの欧州企業との競争に大きなハンデを負っている面もあるとの指摘があった。


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