社会貢献推進委員会(委員長 武田國男氏)/11月29日
2001年のボランティア国際年をひかえ、「平成12年度国民生活白書」ではボランティア活動とNPOを取り上げており、その概要について、経済企画庁の池田実国民生活局長から説明をきいた。引続き、委員会メンバーにより「1999年度社会貢献活動実績調査結果」(案)の審議、ならびに、「変化する企業と社会貢献」懇談会の島田京子座長、「社会基盤整備」懇談会の加藤種男共同座長のそれぞれから、各懇談会の活動報告等が行われた。
国民の4人に3人は社会の一員として何か社会の役に立ちたいと考えている。また、物質的な豊かさのみならず心の豊かさや人とのつながり、とくに、情報技術の発達にともない、職場での縁から、趣味等の同好の士との「好縁」を求める人の割合も上昇している。
ボランティア活動はこれらの欲求に応え、参加者に精神的な充足感をもたらすと期待されており、3人に2人がボランティア活動に参加する気持ちを持っている。
ボランティア活動では、公平性原則の下にある政府や利潤獲得を目的とする営利企業の活動と異なり、これらの制約から自由であり、柔軟な活動を行うことができる。そのために、この利点を活かして多様な活動ができる。また、このような活動をNPOとして組織的かつ継続的に行うことにより、個人や社会に対し一層の便益を生んでいる。
個人のボランティア活動を困難にする要因として、活動する時間がない、活動に関する情報がない等が挙げられており、情報提供、時間預託制度や地域通貨等ボランティア活動を行いやすくする社会システムの導入等が急務となっている。
また、円滑なボランティア活動のためには、双方のニーズをうまく結び付けるボランティアコーディネータの育成も課題である。企業においても、ボランティア休暇・休職等活動を支援する制度を活用することが望まれる。
また、ボランティアは無償でなくてもよいとの理解が進み、活動に対する心理的なバリアが軽減している。
NPO法人の多くが200万円/年以下の収入で、財政基盤が弱い、新規会員集めが難しい、専従スタッフの給与が低い、事務所や活動場所の確保が困難等の問題を抱えている。NPOは基本的には市民が選び育てるとの理念の下で、政府としても情報発信のための環境整備や市民の社会参加や寄付を促す税制等、環境整備を通じて協力・支援していきたい。
日本とアメリカを比較すると、ボランティア参加意欲は同程度である。しかし、実際の活動参加率は日本の方が低い。この相違は、日本では知人へのつきあい意識や義務感をきっかけとして参加するのが多いのに対し、アメリカでは自分自身の満足の向上が多いことに起因し、アメリカではボランティア活動が日常生活の一部として行われている。
また、国民の暮らしに国が責任を持つべきと考える人が多い国とボランティア活動参加率には負の相関が見られる。
企業には、社員有志の自発的な寄付金に上乗せをするマッチング・ギフト等社内制度の導入、地域社会のNPOへの支援等を通じて、ボランティア・NPOの活動支援や寄付の活性化を望みたい。個人には普段の生活の中のふつうのこととしてボランティア活動を行って欲しい。
社会貢献推進委員会および1%クラブは、1999年度の企業の社会貢献活動に関する実績調査結果をとりまとめた(調査対象1,048社、回答社数324社、回答率30.9%)。
1999年度の社会貢献活動支出額は1社あたりの単純平均で4億300万円(対前年度5.5%増)であり、1990年代を通じて4億円前後を推移している。これは利益の変動に大幅に左右されることなく、着実に社会貢献活動を行う企業の姿を示している。
今回は3年に一度の意識・制度調査を併せて行った。社会貢献活動に取り組む理由としては、8割以上の企業が「社会の一員としての責任」と回答している。また、6割の企業が何らかの形で社員のボランティア活動を支援していた。
NPO・NGOに対しては、企業は、「多様な市民社会構築の担い手」「社会貢献活動の重要なパートナー」として期待し、支援・連携に際しては運営の透明性、活動実績、ミッションに対する共感やプログラムの企画・提案力を重視している。
今後NPO・NGOの活動が一層活発化するためには、社会の認識・サポートとともにNPO・NGOに対する寄付金の所得控除が重要と考えている。
上記調査結果(案)は了承され、そのポイントをとりまとめた要約版を公表(11月30日)するとともに、事例等を含めた調査結果全体は、来春、2001年版「社会貢献白書」として発表することとした。
2001年2月16日〜17日、経団連ゲストハウスにおいて、第10回社会貢献フォーラムを開催する。
今回のフォーラムでは、社会貢献活動が目指してきた企業や社会の変革、企業の社会的価値創造等の目的に対する実効性の更なる向上を狙い、豊富な経験を有する米国の日系企業財団等の関係者を交えての議論を予定している。担当者は是非ご参加いただきたい。