経団連くりっぷ No.138 (2000年12月28日)

チャールズ・ナイト エマソン・エレクトリック社 会長講演会(司会 本田アメリカ委員会 企画部会長)/12月1日

オールド・エコノミー型企業を
ニュー・エコノミーにいかに適合させるか


経団連では来日中のチャールズ・ナイト エマソン・エレクトリック社会長一行を招き、アメリカ委員会を開催した。ナイト会長は27年間のCEOとしての経験に基づきセントルイスの1企業だったエマソン社を国際的大企業に成長させた要因について講演した。

ナイト会長

○ ナイト会長発言要旨

  1. エマソン社の現状
  2. セントルイスの1製造業社を発祥としたエマソンは幾多の国内外の困難、変革を克服してきた。今日、エマソンは全世界で400余工場を有するグローバル・カンパニーとしての地位を築いた。2000年には155,450億米ドルの売上を誇るまでになっており業績は連続して好調基調にある。エマソンは実に43年連続の増収益および44年連続の売上増を果たしてきた。21世紀、エマソンは順風満帆に力強くオペレーションを続けることになるであろう。

  3. 行動実施と簡素化の重要性
  4. エマソンが40数年に渡って好成績を残すことができた理由は、そのマネージメント・プロセスにあり、簡素化の徹底、計画を入念に立てる、強力な管理制度とフォローアップ、行動重視の機構、低コストな生産戦略、差別化がし易い事業環境をつくるというものである。経営者にとって重要なことは「会社の成長と収益目標を達成するビジネスの好機を見定め、躊躇せずに投資を行うこと」にある。そして「行動実施」することがさらに重要である。

  5. 21世紀、E-ビジネスの世紀
  6. 21世紀はE-ビジネスの世紀といっても過言ではない。好むと好まざるとにかかわらず、経営者はE-ビジネスに取り組むことが要求される。E-ビジネスとは生産性の向上を意味するものである。現在、米国の産業はオールドエコノミーとニューエコノミーとの過渡期にある。変化を好まない重厚長大の会社は滅び、情報産業、そして情報化した産業だけが生き残る。
    また、21世紀のエコノミーでは市場占有率の高い企業だけが生き残る状況にもある。エマソンはマテリアルス・ネットワークでは第1位〜2位であり、21世紀も力強く世界市場、E-ビジネス市場で活躍することになるだろう。アクションなしの頭、口だけの経営者のいる企業は滅んでいく。経営者はマネージメントに継続性を持ち、自分の企業にとって最大のテーマは何なのかに関しよく認識することから始めるべきである。また、安易にリストラで経営を安定化させる時代は終焉した。


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