経団連くりっぷ No.139 (2001年1月11日)
なびげーたー
事務総長 内田公三
社会保障など、経団連と日経連が一緒になって取り組むべき分野が増えており、統合によって一層の飛躍につなげたい。
21世紀を迎え、経団連の役割はますます重要になってくるが、特に日経連との統合・合流を控えて、年頭にあたり、所感の一端を述べたい。
いうまでもなく、統合はそれ自体が最終目的ではなく、統合して何を成し得るかが大事である。20世紀からの引継ぎ事項ではあるが、時代は、官主導から民主導へ、民の自立・自助・自己責任へと大きく変わりつつあり、この方向はますます明確になってくる。
その中で、経団連の使命は、今井会長が常々いっておられるように、何よりも、企業や個人の活力が伸び伸びと発揮できる環境を創ることにある。例えば、経団連は、一昨年、昨年と企業、個人にとって過重な負担となっている税制の改革に取り組んできたが、もう一つさらに大きな負担となっている社会保障制度の改革が、少子高齢化でますます重要になってくる。社会保障の問題はこれまで主に日経連が取り組んできたが、統合によって一緒になって取り組んでいくことが期待される。
統合にあたって、経団連としては、日経連が歴史的に果たしてきた役割を正しく認識することが重要である。日本においては労使関係の安定、職場における人間尊重が特に重視されてきた。今後も日本的経営の良さを残しながら新しい状況に対応していくことが重要であるし、その必要性はますます高まりこそすれ、なくなることはない。
今回の統合の検討過程において、日経連は「人間尊重」の重要性を強く主張した。経団連としてもその精神で活動してきたことはいうまでもないところであり、市場経済は「人間の顔」をしていることが望まれるのは当然である。また、日経連は、会員へのサービス活動の重要性を指摘した。経団連としては、それはあまりに自明のことと考えていたが、新団体の発足にあたって、あくまで会員あっての組織であることを再確認することに全く異議はない。
日経連は業種団体に加え、都道府県経営者協会が会員となっており、統合によって地方の末端まで新団体の活動が浸透しうることになる。また、地方の声をきめ細かく吸収して新団体の活動に反映させることも可能となる。統合によって新団体の活動の幅と奥行きが拡がるとともに、基盤も確固たるものとなろう。統合は歴史の必然といえようが、受身ではなく、前向きに受け止め、一層の飛躍につなげたい。
経団連会員各位のご理解と引き続きのご支援をお願いしたい。