経団連くりっぷ No.140 (2001年1月25日)

OECD諮問委員会(委員長代行 塩谷憲司氏)/12月20日

産学連携の重要性を確認

−BIAC産業技術委員会報告会を開催


パリに本部を置くBIAC(民間産業界のOECDに対する諮問機関)の産業技術委員会の佐野令而委員長(松下電器産業技術顧問)より、2000年の活動状況の報告をきいた。産業技術委員会は、4月に産学連携に関するポジションペーパーをとりまとめた他、10月にベルリンで開催されたOECD・ドイツ政府共催による産学連携をテーマとしたワークショップやOECD科学技術政策委員会に参加し、産業界の立場から産学連携の促進の重要性を訴えた。

○ 佐野委員長説明要旨

  1. 産学連携のポジションペーパー
  2. 産業技術委員会は、4月に産学連携に関するポジションペーパーをとりまとめた。産学連携が、産業を活性化するうえで非常に有効な科学技術政策であることを踏まえ、

    1. 大学の研究への支援(社会の要請に応えた研究テーマと教育カリキュラム)、
    2. 産業界への技術移転の促進(共同研究等)、
    3. 産業界における実用化の促進(中小企業の特許使用料の低減、事業立上げの資金サポート)、
    を提言した。

  3. OECD科学技術政策委員会の議論
  4. 10月のOECD科学技術政策委員会では、バイオテクノロジーに関し、全国民の遺伝子情報をデータベース化したアイスランドの試みが紹介され、個人の遺伝子情報のパテントやプライバシーをめぐる問題について議論が行われた。
    また、持続可能な発展(Sustainable Development)との関連で、ITやバイオ等の新技術の活用、科学技術政策と研究開発の連携の必要性が議論になった。

  5. 産学連携ワークショップ
  6. OECDとドイツ政府共催の産学連携に関するワークショップでは、大学等の知的財産権の商業化とTLO(技術移転機関)の重要性、経済のグローバル化に対応した産学連携や人的資本の活用のあり方、産学連携の評価基準の共有化等について活発な議論が行われた。

  7. 産業技術委員会の2001年のテーマ
  8. 産業技術委員会では、科学技術政策委員会や国連ミレニアム・サミット等での科学技術をめぐる世界的な議論に対応した今後の活動について、10月に議論した。
    2001年の重要テーマは、新技術の導入等による地域の経済発展のための「ローカル・イノベーション」、ITの発達に基づくニュー・エコノミーにおいて求められる新たな「企業家と倫理」、IT革命を牽引できる人材の育成という観点からの「教育と雇用」の3つである。
    今後、eメイルを通じて議論を深め、来年3月の科学技術政策委員会にポジションペーパーを提出する予定である。


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