経団連くりっぷ No.141 (2001年2月8日)

社会保障制度委員会(共同委員長 福原義春氏、福澤 武氏)/1月24日

企業年金法(仮称)に関する再要望を提出


政府・与党は、企業年金法(仮称)を近く開催予定の通常国会に提出すべく、立法作業を行っている。経団連は、去る11月1日に要望書を提出したところであるが、政府・与党の検討状況を踏まえ、社会保障制度委員会では、1月24日、自民党私的年金等に関する小委員会の太田誠一委員長に再要望を行った。以下はその概要である。


企業年金法(仮称)に関する再要望(抜粋)

昨年12月に与党の税制改正大綱がとりまとめられ、企業年金法(仮称)の税制措置が明らかになった。これを受け、現在、政府において、法案の立案作業が行われているが、その際には、新制度の円滑な実施によって企業年金の充実を図る観点から、以下の点に十分配慮されたい。

  1. 厚生年金基金の代行部分返上の早期実現、返上ルールの明確化
  2. 企業年金法(仮称)の施行後、速やかに厚生年金基金の代行部分返上を可能とする。返還金額は、解散時と同様の最低責任準備金とする。代行返上に伴う市場への影響を最小限にとどめるため、企業年金契約を分割し、代行部分の契約の相手方を基金から国または年金資金運用基金とする方法や、現物による返還を認める。その際、返還先となる年金資金運用基金と基金のポートフォリオ調整が必要であれば、早期に調整を開始できるよう、年金資金運用基金の運用方針を具体的に示すべきである。
    また、当分の間、返上後も厚生年金基金側が厚生年金の裁定業務を行う等、柔軟な対応をとる必要がある。

  3. 適格退職年金からの円滑な移行
  4. 適格退職年金からの円滑な移行を可能とするため、既実施の制度内容を認めるとともに、財政検証、財政再計算について、一定の期間簡易な基準を適用する等、十分な経過措置を講じる。

  5. 特別法人税の撤廃
  6. 企業年金税制については、受給時課税の原則に沿って、公的年金等控除の縮減と併せて特別法人税を廃止すべきである。特別法人税の撤廃が実現しなければ、適格退職年金からの移行期間の延長を要望する。

  7. 支払保証制度は不要
  8. 受給権保護は、継続基準・非継続基準に基づく財政検証等を実施することで十分図られる。モラルハザードを惹起する支払保証制度は将来にわたって導入すべきではない。


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