貿易投資委員会 総合政策部会(部会長 團野廣一氏)/2月6日
わが国がWTO交渉や自由貿易協定交渉を進めていく上で、国際競争力の弱い国内産業の競争力強化策や保護策が、重要な検討課題となる。そこで、東京大学の生源寺眞一教授より、わが国農業政策の現状と課題について説明をきいた。
WTOの農業交渉を視野に入れ、農業基本法が1999年に約40年ぶりに改正される等、さまざまな農政改革が進んでいる。特に、部分的に株式会社形態の農業生産法人を認めるべく農地法が改正されたほか、農協についても改革の方向性が検討会報告で示された。
昨年3月の食料・農業・農村基本計画において、カロリーベースの食料自給率を現在の40%から2010年に45%にまで引き上げるという目標が設定された。
これを受けて、政府は、コメからの転作奨励金等により、現在、カロリーが比較的高く自給率の非常に低い、麦・大豆・飼料の自給率引上げを目指している。
しかし、日本の農業が得意としない分野に注力するスタンスは、農業経営者の活力を引き出すという観点からは疑問が残る。むしろ、金額ベースの自給率に注目し、大きな所得を生み出す魅力ある農業ビジネスへの活力を引き出すことが重要である。
政府は、農産物市場への市場原理の導入を目指して、コメ、麦、大豆、牛乳・乳製品に対する価格政策の見直しを進めている。政府が価格を決定するという政策からの転換は、