国際協力委員会 政策部会(部会長 佐藤和夫氏)/2月8日
外務省では、1999年度より開発途上国に対する国別援助計画をとりまとめつつあるが、2000年度内を目途に中国に対する援助計画を策定する方針である。そこで同省の経済協力局調査計画課の駒野欽一課長より、基本的な考え方について説明をきくとともに、意見交換を行った。駒野課長は、この20年間の日中両国を取り巻く環境の変化を踏まえ、従来の沿海部のインフラ整備から、環境、貧困対策などの分野に重点を移すと同時に、透明性の向上を図るなどして日本国内で十分な支持が得られるよう努める必要があると述べた。
この20年間に日本や中国を取り巻く国際環境は大きく変化しており、対中援助のあり方も見直しの必要がある。中国は経済・軍事大国となり、開発需要も変化してきた。
こうした変化を踏まえ、今後の対中援助は、
従来、対中援助の中心であった沿海部のインフラ整備については、今や民間投資により実施可能になっている。今後は、環境保全、内陸部の民生向上、社会開発、人材育成、技術移転など、ソフト面に重点を置くべきである。たとえば中国の世界貿易機関(WTO)加盟を受けて、WTO整合的な制度・政策づくりを知的側面から支援していくことも必要となろう。
また、今後は日中間の相互理解促進を重視し、留学生交流、文化交流、学術交流など、あらゆるレベルの交流を強化すべきである。
さらに、日本企業の対中円借款受注率がこの3年間に30%から4%まで落ち込んでいる状況に鑑みて、国際ルールや入札上の制約を考慮しつつ、日本企業の受注率の向上を工夫する必要がある。
日本では、困難な財政状況を反映して、援助に対する見方が厳しくなってきている。特に対中ODA(政府開発援助)は、日本のODAの30%を占めており、国民の関心も高い。国民の理解を得るためにも、日本国内で対中ODAに関する透明性を高めるべきである。留学生受け入れ支援など、国内でのODAの活用もあってよい。最近、日本のODAがODA大綱に違反するとの批判が多いことを踏まえ、中国側のODA大綱に関する認識も徹底させる必要がある。
また、中国においても、地方政府の意向を直接的に踏まえて共同でプロジェクト形成作業を行い、広報の強化などにより日本の「顔の見える援助」とすることが重要である。