東海地方経済懇談会/2月23日
経団連・中部経済連合会(中経連)・東海商工会議所連合会共催の標記懇談会が名古屋市において開催された。地元経済人約150名の参加のもと、経団連側は今井会長、辻・金井・前田・大賀・香西・上島の各副会長が出席し、東海経済界首脳と最近の経済動向や中部の主要プロジェクト等について意見交換した。
今年に入り、米経済の減速を受け、景気の先行きに対して慎重な見方が台頭している。現状打破のため、先行きに対する国民の根強い不安感を払拭する必要がある。
中部では、21世紀のわが国に必要不可欠なプロジェクトとして、(1)2005年日本国際博覧会、(2)中部国際空港、(3)首都機能移転を全力で推進している。(1)については、昨年12月に博覧会国際事務局(BIE)総会で正式承認され、今後、展示内容の検討や参加国の招聘等の活動を開始する。(2)については、今年から本格的な埋立工事に着工し、空港諸施設の建設に向けて工期短縮に注力している。(3)については、今年が国会審議のヤマ場であり、21世紀のわが国の方向性を示すシンボルプロジェクトとして移転実現に向け、全力で取り組む。
東海経済は緩やかな回復基調にあるが、企業倒産が過去最悪となるなど、中小企業を中心に厳しい状況にある。こうした中、中小企業が景気回復を実感できるようにすることが今後の課題である。
名商では、中小企業支援のため「産学交流プラザなごや」をはじめ産学連携等の事業に取り組んでいる。また、ITの有効活用について中小企業への啓蒙や導入支援に取り組んでいきたい。
さらに、M&Aの相談窓口として3月に「M&Aサポート・オフィス」を開設する。M&Aは大企業のみならず中堅・中小企業にとっても効率的な経営戦略の一つとして注目されており、より多くの企業に活用してもらうよう活動していきたい。
本年1月の中央省庁等改革に伴い、省庁の数が削減され一見スリム化したように見えるが、その効果は実感できていない。これは、
中部国際空港については、昨年8月より現地工事に着手し、順調に進捗している。新空港の来年度事業については、政府予算案において用地造成および空港施設整備に必要な事業費として606億円が計上されている。2005年の万博開催に間に合うよう開港するとともに、官民連携のもとエアポートセールスを展開したい。
2005年日本国際博覧会については、昨年12月、BIE総会で国際博覧会として登録が承認され、今後は具体的な展示内容等につき検討を進める必要がある。
会場建設費の負担問題については、昨年9月に総額1,350億円まで圧縮することで合意した。経済界は民間として3分の1を負担することとなっており、現在、博覧会協会の財務委員会で寄付金の募集活動が正式にスタートした。経団連には、オールジャパンの支援体制で対応願いたい。
愛知万博については、会場計画の変更等、紆余曲折を経て昨年12月、BIE総会で正式に登録承認された。今後、寄付募集や世界各国への参加招請活動等に取り組む必要がある。今月、博覧会協会内に財務委員会が設置され、経団連の荒木副会長が委員長に就任した。総額230億円の寄付の目標に対して、中央と地方の協力のもと経済界を挙げて取り組むことが必要である。
名商では、万博を地域活性化やビジネス拡大の好機と捉え、会議所事業の中で万博に関連した取組みを実施する「一会議所一事業」に取り組んでいる。具体的には、地域に点在する産業文化財等を広範に見て頂く産業観光の振興活動があり、本年度は国内の産業観光推進都市等と協力して「産業観光サミット」を開催する予定である。
万博や中部国際空港等の大規模プロジェクトを控え、その中核都市である名古屋は、国内外の来訪者にとって魅力的なまちづくりを進める必要がある。
前田副会長より税制改革・社会保障改革、大賀副会長より行政改革、また、金井副会長より科学技術・産業技術の強化につき、それぞれ経団連の取組みについて説明があった。さらに辻副会長より環境問題への対応、上島副会長よりアジア諸国との経済交流について、香西副会長より世界に向けて発信する中部について発言があった。
最後に今井会長より、活力ある中部におけるさまざまな取組みを踏まえつつ、経団連として経済新生に取り組んでいくとの総括があった。