経団連くりっぷ No.144 (2001年3月22日)

経団連ゲストハウス社会貢献フォーラム/2月16〜17日

ブランド・イメージ構築に資する社会貢献活動の実践


10回目を迎える社会貢献フォーラムは「社会貢献活動の実効性をより高めるために」をテーマに、米国の企業財団関係者の参加を得て開催した。企業の社会貢献担当者を中心に50名余が参加し、企業グループ全体のブランド・イメージ構築に資する企業財団も含めた社会貢献推進体制のあり方、慈善から社会的投資や戦略的フィランスロピーへの動きなどについて討議した。

○ 米国側講演要旨

  1. カスピューティス日立ファウンデーション理事長基調講演
  2. どんな企業も緊密化するグローバル経済の影響から逃れることはできない。環境、人権、経済格差、地域貢献など、企業として対応が期待される事柄が国際的課題の中核にあることは、WTO、IMF年次総会、ダボス世界経済フォーラムなどでも明白となった。その中でステイクホルダーズに対する社会的責任を果たすには、世界中で一貫したアプローチが必要である。それにより、企業の卓越性を追及する上で重要なブランドという財産を強化することができる。
    「良きグローバル企業市民」の効果的な実践のためには、各企業が独自の哲学に基づく方針をたて、それが毎日の活動における価値判断の基準となる必要がある。経営陣による深い関与が不可欠であり、ステイクホルダーズを巻き込んでいくことが重要である。さらに、昇進や報酬などの社内的インセンティブ、利益に関係なく実践できる創意工夫、NPO等とのパートナーシップなどにより、高い効果を狙うべきである。

  3. 米国企業財団の事例発表
  4. ダイヤー日立ファウンデーション事務局長、アイルワード米国三菱電機財団事務局長、リトウIBM国際財団理事長より、企業と財団の関係、活動の実効性を高めるための課題などにつき、以下の趣旨の発言があった。

    1. 近年では単なる慈善活動から戦略的フィランソロピーへと転換している。その特徴は、(1)より大きなリスクを負い、大きな効果を狙う「ベンチャー・フィランスロピー」の視点、(2)NPOとのパートナーシップである。
    2. 「企業市民」であることは、良質の投資であり、社会、個人、企業の三者に好結果をもたらすという種々のデータがある。
    3. 企業財団は、独立・自律的に運営され、かつ企業の戦略に統合されている場合に最もブランド価値に貢献することができる。
    4. 対象分野を絞り込み、独自に、あるいはNPOへの投資を通じて、人々が関心を持つ複雑な社会問題に解決のための方策を示し、実効性を高めることが重要である。


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