首都機能移転推進委員会(委員長 濱中昭一郎氏)/3月13日
一昨年12月、政府の国会等移転審議会において首都機能移転先候補地を3ヵ所選定する答申が出され、最終移転先の決定は、現在、国会の審議に委ねられている。こうした状況下、昨年12月、社会経済生産性本部の首都機能移転研究会において「首都機能移転への新たな提言」が公表された。そこで、同研究会の座長として提言をとりまとめた東京大学先端科学技術センターの大西隆教授より同提言について説明をきくとともに意見交換を行った。
首都機能移転の本来の目的は、それを契機として新しい時代に相応しい、新しい日本を創造することにある。衆・参両院の「国会等の移転に関する特別委員会」は、首都機能移転の議論が世論と乖離している現状を直視した上で、改めて移転の意義と目的を踏まえた議論を行うべきである。
そこで、国会には、国民に広く情報を発信し、世論を喚起すべく、例えば、来る参議院選挙と併せて首都機能移転の賛否を問う国民投票の実施などを提言したい。
また、従来、首都機能の移転形態は三権中枢機能の一括移転のみが想定されてきたが、災害対応力の強化という観点からは、3つ以上の地域に首都機能を分散する分都も視野に入れてはどうか。
そして、新都市については、従来の都市論から脱却しつつ、日本的な文化や自然を継承した環境共生型IT都市を創造し、「新しい日本」を内外に示すモデルとすべきである。
首都機能移転の具体的構想として、まず第1に、「小さく、効果的な政府」を実現すべく、国政改革と連動させ、新都市は20万人規模に抑えるべきである。第2に、国会・中央省庁は新都市に、最高裁・外局・特殊法人は他地域に移転する、一括・分散併用型の移転方式を採用してはどうか。イギリスやスウェーデンなど諸外国の例を見ても、分散したエージェンシーが地域活性化の核になっている。第3に、特別立法としての新都市建設法による土地利用を推進するなど、既存の都市と緑を活用し、新規開発面積は可能な限り小さくすべきである。そして第4に、移転実現を図る検討組織として、首相直属の首都機能移転推進機関を設置するとともに、移転に向けたスケジュールを明確に示すべきである。