経団連くりっぷ No.145 (2001年4月12日)

国際協力委員会政策部会(部会長 佐藤和夫氏)/3月13日

独立行政法人としてスタートするわが国貿易保険

−経済産業省 荒井顧問よりきく


わが国の貿易保険制度は、2001年4月より行政改革の一環として独立行政法人化され、名称も「独立行政法人 日本貿易保険」(NEXI:Nippon Export and Investment Insurance)として、新たに貿易保険事業を実施する予定となっている。そこで、日本貿易保険の理事長に就任予定の経済産業省の荒井寿光顧問より、新法人の概要や活動方針などについて説明をきいた。

○ 荒井顧問説明要旨

  1. 新組織NEXIについて
  2. 新法人発足にあたっては、昨年の経団連の意見書「新たな貿易保険制度に対するわれわれの考え」を踏まえて、準備を行ってきた。
    新しい組織NEXIの第1の目標として、企業の海外事業活動の支援に重点を置き、貿易保険の原点に立ち戻る。第2に、21世紀のリスク・シェアリングに貢献することである。企業のグローバル化、国際的な民活の進展、破産法の普及などから、新たな貿易保険の役割が求められており、これに積極的に対応していきたい。第3に、保険、国際金融、国際ビジネスの専門家集団となることである。なお、今後の活動方針として、

    1. 顧客サービスの向上、
    2. 引受リスクの拡大、
    3. 運営の効率化、
    4. 財務の健全性、
    という4つの点を指摘したい。
    NEXIは政府から100%出資を受け、さらに95%を政府が再保険引受を行うので、従来よりも引受を躊躇することはない。
    内部組織については、監事・理事には民間人に入ってもらう。理事長、理事は合計3人であり、効率的な対応ができると思う。顧客窓口も二つの営業部に集約する。
    また、今回の独立行政法人の特徴の一つが中期計画・中期目標をつくることである。従来は、政府予算として単年度予算で行われてきたが、NEXIは4年間の目標を立て、継続性のある業務を行う。業務の質の向上、運営の効率化、財務の改善という与えられた3つの目標に対応した計画を策定していく。財務については、企業会計原則を導入するとともに、民間人を含む評価委員会により外部監査も行う。評価委員には民間の人にも入ってもらう予定である。

  3. サービスの改善について
  4. サービスの改善については、引受リスクの拡大、引受対象の追加、保険金査定の効率化、回収制度の改善、手続きの簡素化を行っていく。引受リスクの拡大については、てん補率の拡大、中長期non-L/G信用案件への積極的な取組みを行っていく。引受対象については、海外投資保険の事故事由に天災、ゼネスト、国連制裁により受ける損失を加える。また、仲介取引の船積前危険を追加する。保険金査定の効率化については、保険事項認定の期間を8ヵ月から3ヵ月に短縮する。回収制度の改善としては、控除利息の改善、代位取得原則の導入を行う。手続きの簡素化については、保険料返還時の請求書提出の廃止、海外投資保険引受時の添付資料の簡素化などに努めたい。


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