不正競争防止法の改正に関する懇談会/2月8日
1999年2月にOECDの「外国公務員に対する贈賄防止条約」が発効したのを受けて、わが国では改正不正競争防止法が施行され、外国公務員への贈賄が国内法で処罰されるようになった。その後、OECDによる各国の国内実施法と贈賄防止条約との整合性に関する審査等を踏まえて、現在、経済産業省では不正競争防止法を再度改正する方向で検討している。そこで、同省経済産業政策局の鈴木將文 知的財産政策室長より改正案の内容、外国公務員に対する贈賄防止をめぐる最近の動きについて説明をきいた。
適用除外規定の見直し
OECDの「外国公務員に対する贈賄防止条約」(以下、「条約」という)の趣旨が、国際的な商取引に関する贈賄の防止であるとの理由から、わが国の不正競争防止法では、賄賂を渡す事業者が同じ国の公務員に対して贈賄をした場合には、同法による処罰の対象にはならないという適用除外規定がある。
しかし、条約加盟各国の国内実施法を見ると、こうした規定を設けている国はないため、適用除外規定を削除する方向で検討をしている。
この関係で、処罰の根拠となる規定(不正競争防止法第10条の2第1項)に、条約と同様の「国際的な商取引に関して」という趣旨の文言を挿入したいと考えている。
公的な企業の見直し
贈賄の対象としての「外国公務員」には、「公的な企業」の従業員も含まれており、現行の不正競争防止法では、外国政府等により、(1)議決権のある株式の過半を所有、(2)出資の過半を所有、(3)役員の過半を任命等されている事業者の従業員について規定している。今般の改正においては、諸外国の会社制度や会社支配のあり方の変化に迅速に対応できるよう、これに準ずるものについても含み得るよう見直しを考えている。
なお、現在開会中の第151回通常国会に不正競争防止法の一部改正案を提出したいと考えている。
現在まで条約の批准国は28ヵ国である。OECD贈賄ワーキング・グループは、各国が制定した条約実施法の内容に関する審査を行っており、わが国を含め23ヵ国の審査が終了した。今後は、本年5月までに、条約実施法の運用面に関する審査が開始される予定である。
OECDは、条約加盟国の拡大に向けたアウトリーチ活動の一環として、2001年度に日本でワークショップを開催予定である。また国連では、腐敗に関する条約の作成を目指して、本年5月より交渉が始まる予定である。