社会貢献担当者懇談会―社会基盤整備(共同座長 加藤種男氏)/3月28日
NPOが専門性・先駆性を活かして多様な社会問題へ対応するうえで、その活動をサポートする調査・政策研究活動の重要性が高まっている。そこで、米国のNPOセクターにおける調査・政策研究活動の現状について、アスペン研究所非営利セクター研究基金のアラン・アブランソン研究局長とOMBウオッチのギャリィ・バス事務局長より説明をきいた。
指導者層のリーダーシップ能力の向上を目指して1950年にアスペン研究所が設置された。本部はワシントンD.C.で会議施設がコロラド州アスペンとメリーランド州ワイリバーにある。非営利セクター研究基金はNPOに関する調査研究の促進のために、フォード財団、カーネギー財団等からの資金協力を得て1991年に同研究所内に設置され、これまで300件の研究に対して総額700万ドルの助成を行ってきた。
米国のGDPの7〜8%はNPO(非営利セクター)が占めると言われるが、米国においてもNPOは見えずらく、NPOについての理解は欠如している。例えば、米国人の多くはNPOの収入源は個人寄付によると信じているが、事実は違う。病院、大学を含むNPOの収入源の40%はサービス料によるし、30%は政府からの補助金、20%が寄付金で、10%がその他となっている。NPOに関して実態を捉えて、それに相応しい政策を立案することが重要であるが、そのような研究は十分に行われていない。
全米のNPO、行政、企業のリーダー25〜30名からなるNPO戦略チームを設けて、NPOの直面する問題について議論をしてきている。
第1回のテーマは「NPOの社会における役割」ということで3〜4回会合を行い、NPOは民主的な社会にとり必要不可欠な存在であると結論付けた。NPOは、
次のテーマは「NPOとアドボカシー(政策提案・主張)」で、結論として、NPOにとりアドボカシーは基本的活動であり、助長されるべきものとされた。それは、
昨年11月に「NPOと企業の関係」で議論した。環境や貧困などの問題は一つのセクターだけで取り組むことは難しいとの認識からスタートした。そして新しい種類の協働が必要であり、その際に、企業活動を行うときに社会的価値観も加味して進めるという「企業市民」の考えが重要であるとされた。
企業市民ということで企業とNPOの関係を考えると、
OMBウオッチは政策研究とアドボカシーを行うNPOで、政府の説明責任と政策過程への市民参加を目的に1983年に設立された。連邦予算局(OMB)を監視することで政府予算や規制の動向、NPOのアドボカシーの権利保護活動、NPOの情報技術利用とインターネットを活用した情報発信を行っている。
米国におけるNPOの役割は市民社会の本質的なもので、NPOと政府の関係は複雑である。
政策研究には4つのタイプがある。
日本でNPOがセクターとして力をつけるためには次に3つの分野への資源投入が重要である。