経団連くりっぷ No.147 (2001年5月10日)

資源・エネルギー対策委員会(委員長 秋元勇巳氏)/4月10日

わが国のエネルギー政策

−加納時男参議院議員よりきく


資源・エネルギー対策委員会では、加納時男参議院議員(自民党エネルギー総合政策小委員会事務局長)よりエネルギー政策について説明をきくとともに懇談した。
なお、当日は昨年7月から委員会で検討してきた「エネルギー政策の重点課題に関する経団連の見解(素案)」について併せて審議した。

  1. 加納参議院議員説明要旨
    1. わが国のエネルギー情勢は、表面的には平穏ながら、底流には不穏の動きがある。エネルギー需給は安定し、電力の価格もこの20年間に20%低下した。新エネルギーについては魅力と短所の両方を見ていく必要があろう。他方、日本は石油輸入の85%をペルシャ湾岸諸国に依存している。これは日本のエネルギー需要の4割をペルシャ湾岸に依存していることを意味している。日本のエネルギーの自給率は18%と先進国で最も低い水準となっている。

    2. カリフォルニアの電力危機の背景には、

      1. 米国随一といわれる厳しい環境規制、
      2. 人口増加による電力需要増加、
      といったカリフォルニア特有の事情があったが、本質的には電力の完全自由化に潜む問題が顕在化したと考える。第1に財の特性として電力はハンバーガーと異なる。ハンバーガーは食料品として代替性は高いし、必需品でもないが、電力は特殊な弾力性に乏しい財である。第2に発送発電の分断は一貫した経営責任体制を損なうものである。日本は戦時中に発送と配電を分けた結果、効率が低下した経験を有している。

    3. 個別、場当たり、縦割りといったエネルギー政策の誤りを正すため、自民党では「エネルギー政策基本法(仮称)」の制定を目指して大詰めの検討を行っている。同法の基本方針として、供給の信頼性、環境適応性、市場メカニズムの活用の三つを盛り込むが、供給の信頼性を前提として市場化や環境対応を進める考えを示したい。

  2. 懇談要旨
  3. 秋元委員長:
    安定供給を踏まえた基本政策ができたら、それを担保する制度が重要となるのではないか。
    加納議員:
    基本法の案ではまさにその点を重視した。そのため基本法案において、国、地方公共団体、企業の責務および国民の理解協力を明らかにするとともに、政府はエネルギー政策に関する施策を実施するために必要な法制上、税制上、または金融上の措置等を講じなければならないとした。

    寺門地球環境部会長:
    政府の総合科学技術会議で、重点化すべき8つの研究開発分野の中に環境とエネルギーの二つが挙げられている。研究開発はどう位置付けていくのか。
    加納議員:
    基本法の案では、エネルギー技術の研究開発を含めたエネルギー政策については、政府が基本計画を策定し、必要な施策を実施していくこととしている。

くりっぷ No.147 目次日本語のホームページ