環境安全委員会廃棄物部会(部会長 庄子幹雄氏)/3月29日
循環型社会の推進に向けた法制度の枠組みがつくられつつある中、産業構造審議会自動車リサイクルWGは、法制化を視野に入れた検討を行い、このほど自動車リサイクルの促進に向けた中間報告書を取りまとめた。そこで、使用済み製品のリサイクルシステムについて参考とする目的から廃棄物部会を開催し、経済産業省製造産業局自動車課の立岡恒良 課長より説明をきいた。
現在、自動車の保有台数は約7,000万台であり、毎年約500万台が使用済み自動車として排出されている。使用済み自動車は、新車・中古車販売業者や整備事業者を経て解体事業者に引き渡され、有用部品の取り外しを行い、シュレッダー事業者による粉砕、鉄等の回収を経て、残りのシュレッダーダストが埋立・焼却されている。現時点では、リサイクル率は重量比で75〜80%、埋立て・焼却は20〜25%である。
既に自動車業界では、リサイクル率や鉛使用量削減について数値目標を設定し自主的取組みを行っているとともに、マニフェスト制度の実施、特定フロン回収・破壊システムやエアバッグ回収・処理システムを整備している。今後の課題は、使用済み自動車流通の逆有償化をふまえ、既存の自動車リサイクルシステムの実効性を維持しつつ一層の高度化を図ることである。
新たな自動車リサイクルシステムは、
現在考えられているシステムの要となるのは、関係者の役割分担のあり方である。製造・輸入事業者はシュレッダーダストやフロン、エアバッグ等を関係事業者から求められた場合に引き取って処理し、費用を徴収・管理することを通じて、新たなシステムの構築・運営に中心的な役割を担う。販売・整備事業者は新設する事業者登録制度の下で、リサイクルの適正な実施と、その確認を行う。消費者は、使用済み自動車を適正な事業者に引き渡すとともにリサイクル費用を負担する。解体・シュレッダー事業者は、事業者登録制度の下で、リサイクル・適正処理を行い、環境負荷の発生を防止する。こうした役割分担を制度として位置付けることで、関係事業者により自動車のリサイクルが経済情勢等に左右されず、持続的に取り組まれるような枠組みを検討していきたい。
消費者からのリサイクル費用の徴収方法については複数の方式を検討している。受益と負担のバランスや不法投棄の防止にも配慮しながら、実効的かつ効率的な方法を模索していきたい。