国土交通省道路局との意見交換会(司会 香西昭夫 国土・住宅政策委員長)/5月11日
経団連では、物流の効率化や渋滞の解消を図る観点から、首都圏における環状道路整備等を急ぐ必要性があるとして、具体的な提言を取りまとめるとともに、適宜、道路行政に関して国土交通省道路局と意見交換を行ってきた。その一環として、今般、国土交通省の大石久和道路局長ら幹部を招き、「転換期の社会資本整備」と題して、今後の道路局の主要施策等について説明をきくとともに意見交換した。
今後の道路整備は、原因治療的な考えの下、ネットワークの再編を進める。すなわち、環状道路等を早期に整備することによって、タフな都市・地域構造を21世紀に残していくことを重視する。
環状道路の整備率に関して、東京圏と他の先進国主要都市を比較すると、東京圏は非常に遅れている。そこで当面、東京圏の西側は圏央道、東側は外環の整備に注力し、効率的に運用する。また、わが国は、高速道路網も他の先進国に比べ不十分である。ドイツは、国土面積がわが国を下回るが、わが国より約4,000キロも長い高速道路網を有している。ドイツに限らず高速道路網が発達する欧米では、現在も一層の延長を進めている。わが国においても、早期に高速道路によるネットワークを構築することが不可欠である。
さらに、今後の道路空間の再構築にあたっては、自転車、歩行者、公共交通、緑の空間を自動車空間から独立して位置付けるモジュール型の道路構造を念頭に置きたい。緑の空間を増大させ、とりわけ、歩行者・自転車にとって快適な通行空間を確保することに努める。さらに、電線類の地中化を推進し、美しい景観の創造、都市の防災性の向上実現にも取り組む。
道路特定財源は、自動車の取得、保有、利用に応じて、国民の税負担によって成り立つものである。現在、揮発油税や自動車税などの税率は、特に道路整備を急ぐという目的の下、暫定税率で負担していただいている。昨今、道路特定財源の一般化論が出てきている。この特定財源の一般化については、納税者である自動車利用者の理解を得ることは難しいのではないかと考えている。道路特定財源の一般化論に対しては、慎重な議論が必要である。