経団連くりっぷ No.150 (2001年6月28日)

塩川財務大臣との懇談会(司会 井孝頴 財政制度委員長)/6月14日

財政構造改革の断行を


経団連は、先の総会決議において、小泉政権の「聖域なき構造改革」への支持を打ち出した。このうち、税制ならびに社会保障制度を含めた財政構造改革のあり方を中心に、塩川財務大臣ほか財務省首脳と意見交換した。

  1. 塩川財務大臣発言要旨
  2. 小泉政権の発足以来、経済財政諮問会議における検討作業に総力をあげている。
    われわれの構造改革路線に対する支持を、心強く感じている。今後、思い切った聖域なき構造改革を進めたいと考えており、これから痛みを分かち合っていく必要がある。
    予算編成についても、従来の既得権益化したシーリングやシェアにとらわれずに、国民のニーズに重点を置きながら作業を進めている。現在は財務省にとって難しい時期ではあるが、経団連からも「今は辛抱しよう」というメッセージを出してほしい。
    6月末に総理が訪米し、ブッシュ大統領らと会談する予定である。アメリカ政府には「小泉政権はこのような努力をしていくつもりだ」という方向性を説明したい。

  3. 今井会長発言要旨
  4. 日本経済低迷の大きな要因である消費不振の背景には、666兆円に達する政府債務や、社会保障の将来などに対する国民の不安がある。企業も、将来の社会保険料や地方税負担を大いに懸念している。
    小泉首相、塩川大臣が掲げるプライマリーバランス改善の目標を全面的に支持する。併せて、できるだけ早い時期に、政府債務償還への道筋、持続可能な社会保障制度のあり方、将来の国民負担率などについて、明確な将来像を示してほしい。
    また、一日も早く、具体的な財政再建に着手してほしい。既に、来年度予算の新規国債発行額を30兆円以下にとどめるとの目標が打ち出されており、これを達成するには、3兆円以上の歳出削減が必要となる。従来の常識からすれば大変なことだが、経団連は全面的に支持する。その過程で、経済が極端に落ち込むことは望ましくないが、今後2〜3年は、まず構造改革を優先させるべきであり、ある程度の景気低迷も覚悟しなければならない。

  5. 意見交換(要旨)
  6. 経団連側:
    社会保障、公共事業、地方財政など関連制度の見直しが不可欠。
    来年度における連結納税制度の導入、個人投資家育成に向けた証券税制の整備が、当面における税制の課題。

    財務省側:
    社会保障の将来ビジョンは、最も大事な政治目標だ。
    国と地方の関係や、公共事業のあり方を見直さなければならない。

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