経団連くりっぷ No.150 (2001年6月28日)

日本ベトナム経済委員会(委員長 宮原賢次氏)/6月8日

ベトナムからの輸入拡大、人材育成などに対する日本の協力を期待

−ファン・バン・カイ首相と懇談


日本ベトナム経済委員会では、来日中のファン・バン・カイ首相を招いて懇談会および昼食会を開催した。席上、カイ首相は「ベトナム経済の現状と今後の展望」についてスピーチを行い、その中でベトナム政府が投資環境の改善に引き続き努めていると説明するとともに、質疑応答の中で、WTO加盟のためのスケジュールに沿って銀行業務の自由化も検討すると発言した。
経団連側からは、投資環境の改善を求めるとともに、ベトナムにおける人材育成に協力するプログラムを検討中であることを伝えた。

○ カイ首相スピーチ要旨

  1. 1991年〜2000年の10年間に、ベトナムの国民所得はほぼ倍増した。2001年1月〜5月の平均経済成長率は7.2%であり、輸出も15〜16%の増加を見せている。しかし、米国と日本の経済成長が芳しくないためベトナム製品の市場が縮小しており、価格も下落している。特にコメとコーヒーの価格の下落は、当面の大きな問題である。

  2. 今年はベトナム向けODAの再開10周年にあたる。日本からのODAの累計額は70億ドルに達し、ベトナムが世界全体から受け取った援助の約4割を占める。日本からのODAはインフラ整備やエネルギー源の確保、農村開発、貧困撲滅などに役立っている。今後のODA案件の発掘には、日越両政府だけでなく日本企業にも加わってもらいたい。

  3. 2000年度の日越両国間の貿易額は約50億ドルと、ベトナムの輸出入総額の16%にあたる。他方、日本のベトナムからの輸入額は日本の輸入総額のわずか0.6%にすぎない。日本市場は質も高く品質基準も厳しい。そこで日本には、ベトナムに専門家を派遣するなどして品質改善や技術指導、梱包技術の指導などを行ってもらい、輸入総額に占めるベトナムからの輸入の割合を1〜2%程度にまで上げてもらいたい。

  4. 日本からベトナムへの投資金額は、認可ベースでは40億ドル、実行金額ベースでは24億ドルである。ベトナムでの日本企業は、製品の品質が高いのはもちろん、法律を遵守しており、労使関係でのトラブルも少ない。技術移転や人材育成にも熱心である。ベトナム政府は、外国からの投資誘致のため引き続き投資環境の改善に努めている。外国投資法もその時々のニーズに応じてこれまで4度改正している。現在政府は、公共料金の公平化や個人所得税、土地賃貸料などにおける内外差別の撤廃、行政手続きの改善などを積極的に検討している。外国企業はベトナム経済の重要な一部分であり、外国投資家の負担を極力軽減し、外国企業の製品の国際競争力を高め、輸出を増やすことがわれわれの目標である。

  5. 人材育成は今後のベトナムの発展のため不可欠である。私は今後も多くのベトナム人が日本に来て研修できること、そして日本から多くの専門家がベトナムに来て技術指導などを行ってくれることを希望する。


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