経団連くりっぷ No.150 (2001年6月28日)

日タイ貿易経済委員会(委員長 安居祥策氏)/6月1日

外国直接投資に対する政策は、改善することはあっても
改悪することはない

−チャトゥロン首相府相(投資担当)、スタポーン投資委員会長官と懇談


日タイ貿易経済委員会では、BOI(投資委員会)担当のチャトゥロン首相府付大臣、スタポーンBOI長官を招いて朝食懇談会を開催し、タクシン政権のもとでのタイの今後の外国投資に対する考えをきくとともに意見交換を行った。

  1. チャトゥロン大臣説明要旨
    1. タクシン政権は自由貿易の重要性を認識し、貿易・投資がタイ経済の発展に不可欠であることを十分に認識している。ただ、世界的な潮流に合わせてタイも変革を成し遂げねばならず、輸出促進とともに国内のさまざまな問題の解決を図る必要がある。証券取引市場の安定・強化や金融機関の整理を行って経済基盤を安定させ、農業分野の改善、技術の導入・振興、中小企業の育成、人材育成などにより国際競争力を高めることが求められる。

    2. タクシン政権は国内経済の向上に重点をおいているが、これは海外からの投資誘致や輸出促進に手を抜いているということではない。それぞれの可能性を引き上げる必要があるが、中でも国内経済の可能性引き上げの余地が最も大きいということである。今後の投資奨励政策は、国内経済の整備に対応して見直すことにしている。

    3. 今年1月の下院選挙に際してのタクシン首相の公約には、誤解されている点が多い。BOIによる投資奨励策そのものはタクシン政権になっても変わっていないし、今後仮に改善するとしても、投資家の意見を十分に聞き、それを反映させるつもりである。投資を行っている企業に対しては、これまでの優遇措置を全く変えないし、事業拡大の妨げになる措置をとることも考えていない。

    4. 近い将来、タクシン首相が来日する際には、首相自ら投資を誘致し、タイの投資奨励策に関する正確な情報を提供することになろう。投資家の皆さんには、安心してほしいという点を重ねて強調したい。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連側:
    日本からタイへの投資は、タイに根をおろすための長期的な観点からの投資である。仮に投資環境が改悪されるようなことがあれば、われわれとしてはバンコクの日本人商工会議所を通じてタイ政府に要望を出し、しかるべき対応を求める。

    チャトゥロン大臣:
    日本からの投資の特徴は十分認識しており、重要だと思っている。商工会議所関係者とは、ピタック副首相が責任者となって定期的に意見交換を行っており、投資環境についても問題の把握と改善のための対策を講じている。

    経団連側:
    日本のODAが中小企業に届くスキームの構築など、中小企業育成のためタイ政府の一層の努力をお願いしたい。また、競争力強化のベースとして安定した国内需要が必要である。内需拡大策を講じてもらいたい。

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