第27回OECD諮問委員会総会(委員長 生田正治氏)/5月31日
OECD諮問委員会は、第27回総会を開催し、2000年度事業報告・収支決算、2001年度事業報告・収支予算等を審議、承認した。当日は、あわせて、外務省経済局の小田部陽一 参事官より、5月16〜17日にパリで開催されたOECD閣僚理事会の模様をはじめ、同時期に開催されたIEA(国際エネルギー機関)閣僚理事会やWTO新ラウンド交渉をめぐる動き等について話をきくとともに懇談した。
主に、貿易、持続可能な開発、経済情勢について議論が行われた。
貿易については、コミュニケで、本年11月にカタールで開催されるWTO閣僚会議において、包括的な新ラウンド交渉を立ち上げることへの決意が確認された。
新ラウンド立ち上げに向けては、発展途上国の説得、米国新政権との協調が不可欠であるが、双方について進展があった。
途上国との関係では、閣僚理事会にあわせて、ムーアWTO事務局長主催の朝食会が開催され、OECD非加盟国も含めて、新ラウンド立ち上げに向けた議論が行われ、先進国側は、途上国の関心が高いウルグアイ・ラウンド合意の「実施」等の問題に積極的に取り組むことを確認した。
米国との協調については、ゼーリック通商代表がOECD閣僚理事会に出席し、ブッシュ政権の新ラウンド立ち上げに向けた強い意欲を示した。また、ゼーリック代表の提案により、閣僚理事会にあわせて、米国、EU、カナダ、日本による四極貿易担当大臣会合が開催された。
持続可能な開発については、米国による京都議定書からの離脱表明を受けて、地球温暖化問題を中心に議論が行われた。
コミュニケでは、COP6(気候変動枠組条約第6回締約国会議)再開会合に建設的に参加すること、大半のOECD加盟国は京都議定書の2002年発効を目指すことが明記された。
経済情勢については、米国経済に関して、減速が顕著であるが、年後半にかけて回復するだろうという前向きの議論があった。また、情報通信技術が各国経済の生産性に与える影響に関して報告書が提出された。
エネルギー安全保障の再確認、原子力発電を含むエネルギー源の多様化、京都議定書を含む地球温暖化への対応等を中心に議論がなされた。
WTOにおける今後のプロセスとしては、7月に現状がどのようになっているのかの確認作業が行われることとなっている。
四極貿易担当大臣会合では、先進国間で意見の集約を図るとともに、日米欧がそれぞれ個別に途上国に働き掛けていくべきであることが確認された。