経団連くりっぷ No.150 (2001年6月28日)

統計制度委員会企画部会(部会長 飯島英胤氏)/6月12日

消費統計見直しへの取組み状況

−総務省統計局 統計調査部 福井調査企画課長よりきく


統計制度委員会企画部会では、総務省統計局 統計調査部の福井武弘調査企画課長を招き、同省が実施する家計調査など消費関連統計について、見直しへの取組み状況をきいた。

  1. 福井課長説明要旨
    1. 家計調査などの改善に向けては、従来より、

      1. 公表の早期化、
      2. 調査対象の拡大、
      3. 集計内容の充実、
      に取り組んできた。
      このうち「公表の早期化」については、1997年より速報結果の公表を2週間程度早めた。また、1998年からは勤労者世帯分を先行集計し、調査月の翌月内に公表している。
      「調査対象」は、従来は2人以上世帯のみだったが、1995年からは「単身世帯収支調査」を実施し、現在は四半期ごとに集計結果を公表している。また、家計調査結果と単身世帯収支調査結果を合計した「家計総世帯集計結果」も四半期別ごとに公表している。
      「集計内容の充実」については、2000年から、購入日別の集計結果を公表するとともに、高齢者世帯や共働き世帯など世帯構造別の集計も充実させた。

    2. こうした取組みに加えて、2000年2月の小渕首相(当時)からの指示に基づき、経済企画庁(現内閣府)と共同で、個人消費動向把握の手法改善につき検討してきた。
      この検討結果も踏まえて、2002年1月より、家計調査のさらなる見直しを行う。具体的には、家計統計の一体化・効率化を図るため、現在家計調査と別途に実施している単身世帯収支調査を廃止し、単身世帯を家計調査の調査対象に加える。また、金融資産と消費との関係を的確に把握するため、家計調査において、2人以上世帯の貯蓄・負債保有状況を調査する。
      また、これに先立って2001年10月からは、家計調査を補完するために、新たに「家計動向調査」(仮称)を実施する。これは、約30,000世帯を対象とする大サンプル調査であり(現在の家計調査は約8,000世帯が対象)、より精度の高い調査が期待できる。また、不在のケースが多く調査がより困難だった単身世帯(現在の単身世帯収支調査は約750世帯が対象)についても、調査対象を約3,000世帯とする。同調査では、「高額消費の実態把握」を目的に、高額商品・サービス(自動車、冷蔵庫、パック旅行など)への支出について調査を行う。また、「ITが世帯に与える影響の把握」のため、IT関連商品・サービスへの支出も調査対象とする。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 経団連側:
    世帯内のいわゆるパラサイトシングルが増加するなど、世帯形態が大きく変化しているが、彼らの消費動向をきちんと把握できているのか。

    福井課長:
    家計内単身者の収支についても正確に把握するよう努めている。また、5年に1度実施する全国消費実態調査では、こづかい調査を行うなど、世帯内における個人ベースの収支把握を行っている。

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