WTOサービス自由化交渉に関する懇談会/6月4日
5月9日〜18日に開催されたWTOサービス貿易理事会関連会合の模様について、外務省経済局国際機関第一課サービス貿易室の古谷徳郎課長補佐および経済産業省通商政策局通商機構部の渡邊伸太郎参事官補佐より説明をきいた。
サービス貿易理事会特別会合は、3日半行われた。各国の交渉提案については、分野別に提案国への質問が行われた。音響映像サービスでは、サービス貿易の自由化を推進していくうえで文化の多様性をいかに扱っていくかが議論の焦点となった。エネルギー、環境、金融、観光等の分野については、分類上の問題が議論された。7月の会合では、本国からの専門家が加わり、自然人の移動、分野横断、実務、通信、建設、流通についてさらに掘り下げた議論が行われる予定である。
一部の先進国からは、7月、10月のサービス交渉ウィークの際に非公式で分野別に二国間交渉ができるような時間を用意すべき旨の提案があり、これに対して途上国が懸念を示した。
サービス貿易理事会定例会合では、
欧米は概ね、閣僚会議以降の分野別リクエスト・オファー交渉の準備を行っている。わが国としてもいかに対応していくかを早急に考えていかなければならない。通商関係者の間では、次期ラウンドは2〜3年の短期的なものになるだろうとの予測がある。仮に交渉期限が決まれば、サービス交渉も加速化するであろう。新ラウンド交渉が立ち上がればサービス以外の分野で取引することが可能になり、わが国にとっても多少は交渉がやりやすくなるかもしれない。
サービス交渉は関税交渉と異なり、市場アクセスと内国民待遇の確保以外に政府の国内規制も自由化の対象となる。各国のどのような規制が事業上の障害になっているのか、より具体的なインプットを産業界からいただけるとありがたい。
日本のサービス産業で海外売上が20%以上あるところは、商社、陸運、海運くらいであるが、どのような分野で攻めていくのか、どのような分野で守るのか具体的な交渉戦略の構築が急がれる。