経団連くりっぷ No.150 (2001年6月28日)

インドネシア電力事情説明会/6月5日

パートナーとしての日本企業からの提言を

−ジャカルタ ジャパン クラブ 枦山電力問題検討委員長よりきく


インドネシアでは政治経済情勢が流動的となっており、日系企業の間では、特に将来の電力不足が懸念されている。そこで、JJC(ジャカルタ ジャパン クラブ)の枦山(はぜやま)信夫電力問題検討委員長(国際協力銀行ジャカルタ首席駐在員)より、現地の実情とJJCとしての対応について説明をきいた。当日は、電力問題の背景にあるインドネシアの政治経済情勢についても、活発な意見交換が行われた。

○ 枦山委員長説明要旨

  1. 電力問題に関する実情
  2. インドネシアでは昨年10月以降、将来、電力不足が発生する可能性があるという報道がなされている。インドネシアの電力需要の特徴は、民生需要の占める比率が高いことである。今後、地方での環境整備が進むと、この民生需要の増加により2004年までに年率平均8.9%の電力需要の伸びが予想されている。現在の計画では電力供給量は需要増に見合う形では伸びず、2003年以降、発電設備の故障、修理の余裕を見込んだ必要なリザーブマージンを確保できない。発電設備に大きな故障が発生すれば、最悪の場合、電力供給が止まってしまう可能性も考えられる。
    またジャワ島においては消費電力の95%をPLN(国営電力公社)からの供給に頼っている実態も明らかになった。インドネシアでは1998年の通貨危機以降、ルピア建ての電力料金が大きく下落した結果、発電にかかるコストとの逆転が発生しており、PLNの財務状態の急速な悪化を招いている。政府としては、PLNの財務改革のため電力料金の値上げを決定しており、現在、国会にて審議中の修正予算案に盛り込んでいる。

  3. JJCの対応
  4. こうした問題に関して、JJCは、インドネシア政府に対して、4月に中間提言を提出しており、現在、最終提言書を作成中である。JJCとしては、インドネシア政府に対して、健全な電力セクターへの早期改革を求めている。その一環として、電力料金を適正価格に値上げすることもやむをえないと感じており、JJCの会員企業にも理解を求めていく必要がある。
    また、JJCが日本企業を対象に実施したアンケートの結果からも、日本企業がインドネシア経済に非常に大きな割合を占めていることが確認できた。同時に、一連の活動を通じて、インドネシア国内において日本企業の対応が大変注目されていることを感じた。通貨危機時にもほとんど撤退をしなかった日本企業にとって、インドネシアはアジア展開の核であり、プロフィット・センターとしての地位を確立したと見ている。アジア、特にインドネシアと日本は、概に同じ船に乗っている。両国の関係は、共存共栄のため、官民あげて本音であるべき姿を言い合える、対等なパートナーシップを目指さなくてはいけない時期に来ている。


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