経団連くりっぷ No.151 (2001年7月12日)

環境安全委員会廃棄物部会(部会長 庄子幹雄氏)/6月18日

循環型社会の構築に向けた港湾を核とした広域静脈物流ネットワークの構築


循環型社会の形成推進に向けた法制度の枠組みの検討が進みつつある中、国土交通省は港湾を核とした広域静脈物流ネットワークを構築する構想をまとめた。経団連では、昨年10月の産業新生会議において、資源循環型社会構築のためのソフト・ハード両面での基盤整備として「新資源産業センター構想」を公表している。そこで、国土交通省の金澤寛 技術参事官、港湾局の鬼頭平三 計画課長、安井誠人 環境整備計画室長ほかを招いて廃棄物部会を開催し説明をきいた。

○ 金澤技術参事官説明要旨

 国民の価値観の変化や持続可能な開発の必要性を背景として、大量消費・廃棄型経済社会から循環型経済社会への転換が求められている。

 現状において、東京都で発生し最終処分される産業廃棄物のうち75%が東京都の外に流出していることや、産業廃棄物最終処分場の残余年数が1.6年分まで減少していることから、官民連携によるリサイクル関連産業育成に向けたソフト・ハードの基盤整備が喫緊の課題となっている。その際、用地確保が容易で、物流基盤が集積している港湾のポテンシャルを活かした静脈物流拠点の形成に取り組むことが有効である。

 内陸に造ることが困難な処分場を海面に整備できることや、市街地の交通渋滞、貨物自動車による騒音・振動・大気汚染等の沿道環境への影響から廃棄物の長距離輸送に陸上輸送を用いることが困難な情勢となっていることから、循環資源の輸送網として港湾を活用するメリットは多い。

 また、運搬費用をはじめとするリサイクル関連費用を低減させることも重要である。海上輸送を利用した場合の費用削減効果について、家電リサイクルを例に試算したところ、輸送コストで約15%、施設の集約化による処理コスト削減分が約25%となった。輸送と処理を合わせたリサイクルコストは15〜25%削減される。

 今回まとめた構想では、リサイクル関連施設、中間処理等によって発生する残滓等を受け入れる海面最終処分場、廃棄物の受入・積出のためのバース等を一体的に整備し、総合的なリサイクル物流の拠点となる港湾「リサイクルポート」を指定し、リサイクル関連施設の拠点的立地を推進することとしている。リサイクルポートにおいては、廃棄物埋立護岸の延命化に資する焼却・溶融施設等の整備に対する支援や、廃棄物の海上輸送に係る岸壁、泊地、臨港道路等の整備を行うことを検討している。経団連と意見交換を行いながら施策を進めていきたい。


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