経団連くりっぷ No.151 (2001年7月12日)

統計制度委員会企画部会(部会長 飯島英胤氏)/6月29日

商業販売統計、第3次産業活動指数からみた最近の消費動向

−経済産業省よりきく


統計制度委員会企画部会では、経済産業省経済産業政策局調査統計部の細山八郎 商業動態統計グループ長ならびに秦 茂則 第3次産業活動指数グループ長を招き、同省が作成する商業販売統計、第3次産業活動指数の概要と、これらの指標からみた最近の消費動向をきいた。

I.経済産業省説明要旨

1.商業販売統計

  1. 卸売業・小売業における毎月の販売額について、サンプル調査を行っている。ここ数年は、小売業販売額の減少が続いたが、昨年夏から横ばい状況にある。内訳をみると、家庭用機械器具(家電など)や燃料(ガソリンなど)の販売額は増加している。一方、飲食料品や衣料品の販売額は、低価格化の影響もあって大幅な減少を続けてきたが、昨年頃から減少傾向に歯止めがかかりつつある。但し、全体として順調に回復するまでには至らず、本年4、5月の小売業販売額は再び前年割れとなった。

  2. 大型小売店については、全数調査を実施している。百貨店の販売額は長期的に減少傾向にあるが、百貨店側の企業努力もあり、最近は下げ止まりつつある。スーパーについては、大規模店舗立地法の施行に伴う積極的な店舗展開がみられたが、既存の店舗に限れば販売額は大きく減少している。

  3. 1998年以降、コンビニエンスストアの販売額についても調査を行っている。これまで順調に販売額を伸ばし、現在も販売総額は前年を上回っているが、出店競争の激化などにより、既存店舗の販売額は減少傾向にある。また、ファーストフード店の安売り攻勢もあって低価格化が進み、来店人数は多くても売上げが伸びない状況となりつつある。

2.第3次産業活動指数

  1. 第3次産業全体の活動を主に数量面から捉える指数であり、「鉱工業生産指数の第3次産業版」と考えてよい。個々の数量データ(例:ガス業の場合は「ガス生産量」)から業種別の指数を作成し、これを95年時点の業種別付加価値額によってウエートづけし、全体の指数を作成している。

  2. 直近(本年4月)の第3次産業活動指数は、季節調整済前月比で3.6%低下した。運輸通信業の落ち込み(同11.7%低下)が大きく影響しているが、この分野の統計は、従来から4月に大きく減少する「クセ」がある。携帯電話への加入などは依然堅調であり、4月の結果をもって頭打ちとは判断していない。

II.意見交換(要旨)

経団連側:
経済産業省は「供給側のGDP」とされる全産業供給指数を作成しているが、内閣府のGDPとの乖離をどう考えるべきか。

経済産業省:
全産業供給指数は、第3次産業活動指数と同様、ある時点の付加価値額によってウエートを決めており、その後の構造変化を十分反映しない面もある。一方、主に需要面から作成する内閣府のGDPも、供給側の要素を取り入れる方向ときく。お互いの良い点を取り入れていきたい。

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