アメリカ委員会企画部会(部会長 本田敬吉氏)/6月18日
今後、日米両国において、インターネット関連技術の革新により、放送と通信が融合するメディア融合が進むと考えられる。そこで、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の中島 洋 教授より、ブロードバンド時代におけるメディア融合の動向について説明をきいた。
本年3月、有線ブロードネットワークスが、同社のネットワーク内に限定して、月額4,500円で100メガの超高速通信サービスを開始したが、これは、わが国のブロードバンドの幕開けといえよう。それまでは、CATVやDSLがブロードバンドと呼ばれていたが、現在ではミドルバンドと理解されている。近年、ブロードバンドコンテンツによるサービスも開始されている。
2000年末の米国のDSL加入者数は220万人にすぎず、ミドルバンドの普及は遅れている。この理由として、商業ビルに光ファイバーを設置し、通信を切り売りしているBuilding Local Exchange Carriers (BLECs) との競合があげられる。その他にも
メディア融合には、「テレビがインターネットを取り込む」と「インターネットがテレビを取り込む」の二通りが考えられる。後者の立場からは、IP(インターネット・プロトコル)が軸になり、IP上に通信や放送が乗る形で融合が起こると考えられる。すなわち、電話、CATV、無線LAN、携帯電話等、あらゆるものがIPを運ぶインフラとなり、この上にIPというネットワークができあがる。
この結果、電話はボイス・オーバー・IP(IPの上で音声を相互にやりとりする電話)となり、電話会社は音声を流すのではなく、IPを流し、IPの一部を電話として用いるようになる。電話会社は音声を流すインフラではなく、IPを効率良く流すインフラとして、既存の電話網を高度化させる以外に生き残る道はない。
また、テレビ放送もIP上で、映像をはじめとするコンテンツを提供するようになる。さらに、IPを用いて、行政府は電子行政サービスを行い、企業はビジネスを行う。その結果、通信事業者、放送事業者、行政府等は、全てIPを流すインフラを提供することとなり、通信と放送の融合がさらに加速されるだろう。