経団連くりっぷ No.152 (2001年7月26日)

竹中経済財政政策担当大臣との懇談会(司会 西室泰三副会長)/7月11日

経済財政諮問会議の「基本方針」について
竹中経済財政政策担当大臣と意見交換


経済財政諮問会議は、先般、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を公表した。その内容と今後の課題について、取りまとめにあたった竹中 経済財政政策担当大臣より説明をきくとともに意見交換した。

  1. 竹中大臣発言要旨
  2. 今回の基本方針は「予算編成プロセス自体を変える」ことを打ち出している。従来も同様の議論は行われてきたが、経済財政諮問会議は、首相が議長を務め、この基本方針が閣議決定された点で根本的に異なる。
    基本方針では、「構造改革のための7つのプログラム」において改革の青写真を描くとともに、今後の予算編成でも重要となる、社会資本整備、社会保障、地方の問題などを取り上げている。
    私はよく、「アンブレラ」と「イニシアチブ」の話をしている。アンブレラは、政策の基本的な方向性である。今回の基本方針は、このアンブレラにあたる。一方、具体的な制度設計は、各大臣のイニシアチブの下で、今後ゼロベースから行う必要がある。
    従来、成長率が低下すると需要対策に頼ってきたが、構造改革にはつながらない。生活水準の継続的な低下は避けるべきだが、痛みを伴う施策も必要だ。改革を先送りすれば、長期的な痛みはさらに大きくなる。
    確かに、足元の経済情勢は厳しい。これは、米国経済の影響によるところが大きいが、もともと日本経済の基調が弱いために、海外の影響を受けやすくなっている。この認識に立って、改革をできるだけ前倒しする必要がある。
    こうした問題を広く理解してもらうには、中長期的な見通しを示す必要があり、年内を目処に、マクロモデルを用いた中期経済財政計画を出す予定である。
    われわれは、改革に向けて強い姿勢で臨む必要があり、そのスタンスを途中で変更すべきではない。また、長期にわたる制度設計と実行にあたっては、ビジネスリーダーのサポートも必要である。

  3. 今井会長発言要旨
  4. 今回の基本方針において、構造改革の青写真が明らかにされたことを歓迎している。
    特に、国と地方の関係について、税財源を含めた改革の方向性が示されたことや、来年度予算における国債発行の上限や重点分野などが打ち出された点は、画期的である。
    今後は、この基本方針を実行に移す必要がある。さまざまな困難が伴うと予想されるが、経済界も全力で支援する。改革には、短期的な痛みが当然伴う。少なくとも今後2〜3年間は、大きな景気の落ち込みがない限り、まず構造改革を優先させることを望む。
    改革を着実に実行するには、経済・財政に関する中長期な数値見通しと、これに基づく具体的な施策・スケジュールの提示が必要となる。この点について検討を深め、できるだけ早く成案をまとめてほしい。


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