2001年度防衛生産委員会総会(委員長 増田信行氏)/7月2日
防衛生産委員会では、2001年度総会を開催し、2000年度事業報告・決算、役員の一部改選、2001年度事業計画・予算について審議し、原案通り承認した。また、当日は、中谷元 防衛庁長官を来賓として招き、わが国防衛の重要課題について説明をきいた。
小泉内閣は改革断行内閣ということで、経済財政、行政、社会の3つの構造改革を推進している。企業や個人が明確なルールの下で自己責任原則に基づいて、持っている潜在能力を発揮できるような社会にしていきたい。今回の改革は日本の将来にとって最後のチャンスであるが、安全保障の問題にも、恐れず、ひるまず、とらわれずの精神で取り組んでいる。
冷戦構造の終了により、わが国を取り巻く安全保障の状況が一変し、また、経済的な力を背景として、わが国のアジアを中心とした国際的な影響力も大きくなりつつあり、日米関係も成熟した関係へと変化しつつある。米国は、わが国に対して、以前のバードンシェアリング(負担の分担)から、パワーシェアリング(責任の分担)を求めるようになってきている。
今年は日米安保条約が結ばれて50周年となるが、このような歴史的な年に、ラムズフェルド国防長官との間で、21世紀最初の日米防衛首脳会談に臨んだ。
現在、米国は、安全保障について、陸海空軍、および海兵隊全軍の包括的見直し作業を行っている。その全貌は明らかではないが、ほぼ同時に生起する2つの大規模戦域、戦争へ対処する方針を米国が今後も継続するかが焦点である。
ラムズフェルド国防長官は、今後とも、前方展開を重視して、本国からすぐに駆けつけられるような機動力を重視するとともに、軍事的に不安定な状況にあるアジアの発展には、アジアにおける米軍の軍事プレゼンスが必要であると述べた。
会談では、米国の新しいミサイル防衛構想、沖縄、米軍基地、朝鮮半島情勢、OOTW(戦争以外の任務)の分野における多国間協力活動の問題などについて、国防長官と協議を行った。今後、防衛庁と国防省の審議官レベルの政策的観点からの意見交換の場を設置することを私から提案し、検討を進めることになった。
今後とも、日米関係の中核である日米の安全保障面の関係を強化して、両国の発展を図っていくことで意見が一致した。
ミサイル防衛構想については、米国は、ミサイルの脅威は米国にとって脅威であるとの認識の下に、より前向きに考えている。
ミサイルの弾道は、打ち上げ段階(ブーストフェーズ)、宇宙空間を飛ぶ段階(ミッドコース)、落下する段階(ターミナルフェーズ)の3段階がある。
現在、NMD(国家ミサイル防衛)で研究が行われているターミナルフェーズでの敵ミサイルの迎撃やミッドコースにおける迎撃は、技術的に非常に難しいことから、ブーストフェーズにおける迎撃を重視しているという印象を受けた。
私からは、国防長官に対して、米国がミサイル防衛計画を検討することを理解し、世界の国々にこれをオープンに説明する姿勢を評価しており、わが国としてBMD(弾道ミサイル防衛)に関する研究を継続することを伝えた。また、将来、仮にわが国として弾道ミサイル防衛システムを保有する場合には、わが国自身の国土防衛のためにわが国が主体的に運用するシステムを保有する考えであると伝えた。わが国としても、今後、着実にBMD研究を進めていきたい。
本年度から5年間の中期防衛力整備計画(新中期防)では、