日タイ貿易経済委員会(委員長 安居祥策氏)/7月17日
日タイ貿易経済委員会では2001年度総会を開催し、2000年度事業報告・収支決算、2001年度事業計画・収支予算を審議し、承認した。当日は、議案審議に先立ち、日本貿易振興会アジア経済研究所の東茂樹研究員から「タクシン政権の経済政策と今後の課題」について説明をきいた。
今年1月の下院選挙でタクシン・シナワット氏率いるタイラックタイ党(タイ愛国党)が圧勝した理由は、
タクシン政権の政策運営は、従来のスタイルとは大きく異なる。毎週月曜日に行われていた経済閣僚会議を廃止し、代わりに副首相が各々の担当分野について報告を行うことになった。また、閣議の時間を短縮し、効率化を重視して、資料もパソコンを活用してペーパーレス化するなどしている。さらに、行政や経済、法律など分野別に首相直属の顧問団を組織して、政策に関する研究や提言を行わせている。タイラックタイには財政金融政策に精通した人材が絶対的に不足していることから、財務相直属の顧問団もあり、官僚中心の政策決定という従来のスタイルが変わりつつある。
2月下旬に行った施政方針演説でタクシン首相は16項目を掲げたが、その第1項目は、農民の負債返済の3年間の猶予や村落基金の創設、不良債権処理など、選挙公約にも掲げた緊急政策となっている。これらのほとんどは、すでに閣議決定や緊急勅令の制定が行われて方向性が明らかになっているが、問題点もある。第1は選挙公約と実際にとられる政策との乖離である。例えば農民の負債返済猶予については、選挙公約では全農民が対象と伝えられたが、実際には農業・農協銀行から10万バーツ以下を借りている農民が対象になった。第2に、財政状況悪化が懸念される。各政策の実施には財政支出が必要とされるが、これが将来、公的債務となり、タイ国民の負担が増えるという点が懸念される。そして第3の問題として、これら政策の実施で本当にタイ経済が浮揚するのかどうかが不透明だという点が挙げられる。
タクシン政権の今後の課題としては、