経団連くりっぷ No.153 (2001年8月9日)

ロシア外国貿易銀行 ポノマリョフ総裁との懇談会/7月11日

日本企業の信頼できるパートナーとして


日本ロシア経済委員会(委員長:安西邦夫氏)ではロシア外国貿易銀行と協力して、極東での貿易促進スキームの構築を検討している。そこで、7月8日〜12日の日程で来日したポノマリョフ総裁を迎え、同行の現状をきくとともに日ロ間の貿易・投資促進方策につき懇談した。

  1. ポノマリョフ総裁発言要旨
    1. ロシア外国貿易銀行の概要
      1. ロシア外国貿易銀行(外貿銀)は、ロシア企業の貿易の支援を目的として中央銀行の傘下に設立された。現在は、ロシア企業に対する融資の3分の1が貿易向け、3分の2が国内業務向けで、融資額では国内2位である。また、外貿銀の業務の25%は海外で展開されており、ロシアの銀行の中ではもっとも国際色豊かな銀行である。すでに8年前から欧米型のリスクマネジメントやコーポレートガバナンスの手法の導入にも努めている。

      2. 外貿銀はロシア企業が日本製品を購入する際の融資も積極的に行っていく。金融危機下でも、返済が滞ったことは一度もない。国際協力銀行(JBIC)や日本貿易保険(NEXI)、日本の民間銀行にとって信頼できるパートナーになれると自負している。

    2. ロシア経済の現状と外貿銀の役割
      1. プーチン政権誕生にともなう政治の安定や石油・天然ガス価格の上昇、ルーブル切り下げなどにより、この2、3年で企業の経営状態は改善しつつある。また、ロシア政府は、2002年、2003年ともに対外債務を償還できると公式に表明している。

      2. しかし、ロシア経済は依然、多くの問題を抱えており、特に長期のローンの確保が難しい。保険や投資ファンドなどの金融機関も整備されていない。プーチン大統領は100%の国家保証は行わない方針であり、ロシア企業が設備を輸入する際、リスクを引き受ける外貿銀の役割は大きい。

  2. 意見交換(要旨)
  3. 日本側:
    ロシアのカントリーリスクや企業の個別リスクが改善しつつあるが、金融関連3法(破産、監督、担保)の改正は、金融システムリスクの改善につながっているか。またリースは長期のファイナンスとして機能しているか。貿易活性化に商品借款のスキームは利用できるか。

    ポノマリョフ総裁:
    改正された法律が正しく適用されることが重要である。そのため、政府は司法制度の改革に努力している。リースは、関連する法律が未整備なため活用されていないが、徐々に発達するだろう。商品借款は、外貿銀にとって新しい商品だが、既に金への融資は行っている。
    極東との貿易の活性化については、
    1. ロシア企業の支払い能力の強化 、
    2. 優良案件の発掘、
    3. 中長期の担保の確保、
    が重要である。極東は経済が急速に発展する地域ではないが、金、プラチナ、ダイアモンド、木材などの加工と輸送に関連した機械設備の日本からの輸入が期待される。

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