経団連くりっぷ No.153 (2001年8月9日)

日本トルコ経済委員会(委員長 武井俊文氏)/7月27日

トルコ経済は順調に回復している

−ヤマン・バシュクット駐日トルコ大使よりトルコ経済情勢についてきく


日本トルコ経済委員会では2001年度総会を開催し、2000年度事業報告・収支決算、2001年度事業計画・収支予算を審議し、承認した。当日は、バシュクット駐日トルコ大使より、最近のトルコの経済情勢と日ト経済関係について説明をきくとともに懇談した。

  1. バシュクット大使説明
    1. トルコの新経済プログラムについて
      1. トルコ政府は、今年4月、新経済プログラムを策定し、構造改革とマクロ経済分野での改革を進めている。世銀やIMFもこれを支持しており、100億ドルの追加支援を決定した。

      2. 構造改革については、金融システム改革のほか、電力、天然ガス、航空などの事業活動の自由化に取り組んでいる。このうち銀行については、国営銀行の合併や支店閉鎖などのほか、経営状態の悪い民間銀行を預金保険基金の管理下に置いて、財務体質の改善を行っている。

      3. マクロ経済分野については、第1に税収の増加を図る一方、公共事業を見直すことで歳出削減に努めている。第2にインフレと高金利への対応策として、中央銀行の権限を強化し、金融引き締め政策を推進している。第3に、国際収支の改善である。貿易収支の悪化や2度にわたる金融危機の経験から変動相場制を導入したほか、トルコリラの切り下げを行った結果、輸出が増加に転じた。これら諸施策により、トルコ経済は成長基調に戻りつつある(成長率は2001年▲3%に対して、2002年5%、2003年6%と予測。2001年の経常収支は、9,700兆トルコリラ〔80億ドル〕の黒字を予測。外貨準備総額は307億ドル。対外債務総額は110億ドル)。

    2. 日本との経済関係について
      1. 日ト貿易はトルコの大幅な入超である(昨年の対日輸入約1,300億円、対日輸出約180億円)。他方、観光分野は昨年トルコを訪れた日本人は過去最高の7万7,000人に達するなど、望ましい傾向にある。

      2. 昨年の日本の対トルコ直接投資は16億ドルと外国企業による直接投資総額のわずか6%で、業種も自動車、建設などに偏っている。トルコは通貨の切り下げで生産コストが下がっているほか、経済改革により投資環境も整備されつつある。今がトルコへの投資のチャンスである。日本企業にも積極的に進出してもらいたい。

  2. 質疑応答(要旨)
  3. 経団連側:
    新経済プログラムでは公共事業の見直しが進められているとのことだが、インフラ整備を遅らせることになるのではないか。

    バシュクット大使:
    歳出削減は喫緊の課題である。しかし、トルコ経済が回復しつつある中で、経済の活性化につながる計画については、今後も積極的に推進する。

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