経団連くりっぷ No.153 (2001年8月9日)

統計制度委員会企画部会(部会長 飯島英胤氏)/7月18日

経済統計見直しへの取組み状況

−内閣府ならびに財務省よりきく


統計制度委員会企画部会では、内閣府の清水雅之 前政策統括官付参事官補佐を招き、「消費総合指数」の作成への取組み状況をきいた。あわせて、財務省の日野直道 財務総合政策研究所調査統計課長ならびに竹村伊津子 電算機専門官より、「法人企業統計調査」の見直しについてきいた。

  1. 内閣府説明要旨
    1. 個人消費に関する統計は数多くあり、これらの動きを別個にみても、消費の基調を判断しにくい。一方、GDP速報(QE)における民間最終消費支出は、個人消費を包括的に捉えるものだが、四半期統計であるため、毎月の動きを把握できない。
      そこで内閣府は、月次ベースの基調判断をより正確に行うため、需要側、供給側双方からみた消費の動きを総合的に示す「消費総合指数」を3種類試作した(需要側1種類、供給側2種類)。このうち、需要側から作成した指数の動きは、本年6月から、月例経済報告(内閣府)に掲載している。

    2. 需要側から作成する指数は、家計調査報告(総務省)をベースに、高額消費などの動向は供給側統計で補う。また、1世帯あたりの支出額を調査する家計調査とは異なり、世帯数や世帯あたり人員数の変化も考慮し、マクロ的な消費水準を表している。
      四半期ごとの指数の動きは、QEにおける民間最終消費支出と似ているが、2000年7−9月についてはQEとの乖離が生じた。これは指数において単身世帯の消費を考慮しないためではないか。また、月次の動きは、家計調査の実質消費支出(自動車等を除く)と概ね似ているが、同指数では世帯数の増加を勘案することなどから、家計調査に比べて伸び率が高い。

    3. 一方、供給側から作成する2種類の指数のうち、A案では、財の消費を各種販売統計から、サービスを第3次産業活動指数(経済産業省)から推計する。B案では、財の消費を消費財供給指数(同)で代替している。
      指数の動きをみると、両案とも概ねQEに近い。但しA案は、1998年後半から1999年末にかけて弱い動きとなっており、これは小売業販売額に含まれる法人需要の落ち込みが影響した可能性がある。毎月の動きをみると、需要側から作成した指数と同様、家計調査に比べて伸び率が高い。またB案では、1999年後半以降、QEに比べて伸び率が高い。原因としてはデフレータの上方バイアス(実質消費の過少推計)の問題などが考えられる。

  2. 財務省説明要旨
    1. 財務省が実施する「法人企業統計調査」では、企業のコンピュータ・ソフトウェア投資額を把握するため、今年から調査票を改め、ソフトウェア取得額の記入を求める。

    2. また、2003年度をめどに、インターネットを活用した調査票回収事務の効率化、省内事務プロセスの効率化、ユーザーの利便性向上を目指した公表方法見直しを行う。

    3. 本年7月の統計審議会答申では、法人企業統計調査の公表早期化に向けて、調査票の早期回収に努めるよう要請された。各企業の協力をお願いしたい。


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